高校を卒業した頃だったろうか、千葉の繁華街のビルのテナントで何でも300円で出してくれるようなフードコートがあった。ラーメンやソバ、中華丼みたいのがあったように思う。あの頃はまだ牛丼が400円の時代だから何でも300円というのは格安で、フロアが無駄に広かったこともあり金のない若者がダラダラ過ごすにはちょうど良い場所だった。残念なのは、そこで食べれるメニューはどれも絶望的に美味しくなかったのだ…あの頃はまだ、業務用冷凍食品やレトルト食品は残念なものが多かった。



ヤマザワのフードコート『ひまわり』の味噌ラーメンを食べながら、そんなことを思い出していた。あの頃の自分に「やあ、ボクは未来のキミだ。30年後のフードコートのラーメンは今よりずっと美味しいぞ…シャキシャキ野菜が乗って350円だ！」と伝えたら引くだろうな…でも、本当に30年前と比べて“安かろう不味かろう”な食べ物はすごく少なくなったように思う。スーパーのフードコートでもコンビニでも「ウソだろ？」みたいに不味い…薬品臭いラーメンや渇いたネタが乗った回転寿司、うどんが一本だけ混じった立ち食いそばも無くなった。そして、そういった飲食店で適当にバイトしてるだけで普通に生活していけた若者もいなくなった。 

味噌ラーメンを平らげて席を立つと、こっちにひとりの女性がスタスタと歩いてきて「おとう、久しぶり…アタシは未来のあなたの娘よ。30年後のフードコートのラーメンは今のものにプラスしてチャーシューが２枚乗ってるよ」と微笑んだ。

 

ひらっちゃんが、山形でひとり暮らししてる息子氏のとこに来てたので、10年以上ぶりに東青田の居酒屋『大山』に行ってきた。店内全面禁煙になって子供もウエルカムとのことで、ありがたい。追加注文の生ビールが届いた時に１杯多かったので「あれ、これ誰の？」と呟いたら、ひらっちゃんが「誰が飲んでもいいビール、フリービール」と微笑みながら断言してて（ああ、このおじさんウキウキしてやがるな）と嬉しくなったよね。なんだよ『フリービール』って、初めて聞いたぞ…

 

結構ハードな食事制限を一週間していた妻を横目にアルコールだけ止めていたので、一週間ぶりのビール！普通に美味しい！「そんなに欲してなかったのだろうか？」と自分に問いかけるほどに普通に美味しい！

 

家で宿題やってても集中できずにイライラしてばかりいる娘を誘い、ランチ前の空いてるフードコートに来た。『わからない』というより『めんどくさい』が主要因のイライラなので、適度に気分転換できるとサラサラと終えてくれるのであった。にしても、このシュチュエーション…カプセルトイで遊びながらサーティーワン舐めながらって、我が娘ながら妬ましいよ。

娘がついに髪を切ってくれた…嬉しい。ロングにさせていたい妻の気持ちもわからないわけではないけど、本人自身がまだ髪の毛を扱えないから色々と無理があるのだ。シャンプーもできないし、ほどけても結べないし、遊具で遊んでて絡まっても泣くしかできない…メシを食うにも口に入るし、顔傾けたら味噌汁に入る。髪を伸ばしてることによって、感じなくていいストレスをたくさん浴びるのを見てるこっちもストレスが溜まってイライラする。そんな状態からやっと抜け出せた！「バンザイ！」と叫びながら町内を走り回りたい気持ちでいっぱいである。

切った髪の毛は『ヘアドネーション』といって、抗がん剤治療等で髪を失った子供達のための医療用ウィッグを無償で提供している団体に寄付させていただいた。自分自身が難病持ちの娘も、ヘアドネーションのことを娘に提案した妻も嬉しそうにしてるので何よりである。娘は「また伸ばして、また寄付する！」と意気込んでるが、今度ロングになる頃には自分で扱えるようになってることを祈るばかりである…