朝早く母親から電話があり、実家で飼っていた犬の『チビ』が亡くなったと言う。涙声で気丈に話そうとする母親につられて、励まそうとするこちらの声も潤む。いやあ、まいったな…と思った所で目が覚めた。時計を見るとまだ午前7時、いつもなら起きなきゃいけない時間だが今日は休日、しばらく時計を見ながら複雑な気持ちでいた。というのも、昨夜ほんとに母親から「チビがそろそろ逝くだろう」という報告を受けたからだ。あんな話を聞いたからってスグにこんな夢を見るとは…ずいぶん単純な、というか残酷な脳味噌である。実家の庭に迷いこんで来て17年にもなるチビ、去年は消化器系の疾患で大きな手術までして乗り切ったが、さすがに最近では動きが鈍くなり食も細くなってきていた。どこかを痛がったり苦しがったりしているわけではなく、徐々に消えてゆこうとする命の炎を家族は見守る選択をしていた。「今の夢が続かないように」と祈りながら再び眠りについた。
微妙な天気ながらも雨は降っていなかったので洗濯を中心に家事を済まし、夕方を待って飲みに出る。河原でどっかの町内会がビアパーティーをやっているのを眺めながら(ちょっと肌寒いが、外で飲んでるビールはやはりウマそうだ!)向かった先は、お馴染みの『やきとり二口橋』。カウンターに座り、カミサンとビールをつぎあっていると出掛けに声をかけたなおなおが顔を出してくれた。3人で乾杯「おつかれさま~」何に対してってわけじゃないけど、杯を交わすと気持ちが和む。タバコに火を点けながら考える「実家に電話してみようかしら?」今日何度目かになる思いつきだが、何となく踏ん切りがつかない。もし今朝のが正夢だったら、同じように湿っぽい会話になってしまうだろうし「ねえ、死んだ?」なんて電話するのも不粋な話だ。「焼酎出してください」グラスに残ったビールを飲み干し、マスターに声をかけてボトルを出してもらった。
早くから飲みはじめたせいか各自それなりに酔いが回り、10時という長っ尻な我々にとってはめずらしい時間に会計を済ませた。店を出てY字路でなおなおに手を振ると、さっきから考えてた事をカミサンに告げる。「ねえ、カラオケに行かない?」「え~」「ちょっとだけでいいからさ」「やだよ」「お願い」「あたしは家に帰りたいよ…」「1時間だけ付き合ってよ、頼む!」「ほんとに1時間だけ?しょうがないなあ…」どうにか、カミサンを説得して家と反対方向に進む。何故だか、さっきから頭の中を同じ歌がグルグル回って止まらず、歌わずにはいられない気持ちに支配されていたのだ…カラオケ屋までの道のりでもボヤき続けるカミサンに「かあさん、前にあの歌を歌いたいって言ってたじゃん「どの歌よ?」「アレだよアレ…」などと苦しく気を使ったり、コンビニでのり巻きを買ってやったり…
どうにかカラオケ屋に入り、さっきから鳴り続けている曲『風味堂/LAST SONG』を入力「これでスッキリする!」と歌い始めると、途端に涙がゴーッ!鼻が詰まって歌えんと鼻をかんで、さあ歌うぞとマイクを持つとまた号泣…カミサンは「どうしたの?大丈夫?」と心配してくれているが、今夜も酒乱が発動したのかと怪訝そうにしている。「いや、大丈夫だから大丈夫」そう言うも説得力はなし。結局、もう1回チャレンジしたけどこの曲だけ歌い始めると涙がガーッで、まともに歌う事はできなかった。1時間後、お決まりの展開で店を出ると胸のつかえがスッキリ取れていた。「何か腹減っちゃったな」さっきのり巻きを食べたばかりのカミサンは、これ以上寄り道したくないというので閉店間際のスーパーで揚げ物を買い、家に帰って納豆ゴハンと共にガッツリたいらげた。う~ん、満足満足!
次の朝、父親からメールが届いた「チビが昨日の朝7時、安らかに息を引きとりました。お母さんはまだしょげているので僕が変わりに報告を…」猫は10年以上生きると『化け猫』になると聞くが、さすがに犬も17年生きると『化け犬』になるんだなあ…なんだろう、この強烈なお別れの仕方は?おかげで、昨日は一日すっかり心を振り回されてしまった。でも、離れて暮らすボクのとこまでちゃんとお別れに来てくれるとは、意外に義理固いやつだったんだな。ありがとう…そして、さようなら
微妙な天気ながらも雨は降っていなかったので洗濯を中心に家事を済まし、夕方を待って飲みに出る。河原でどっかの町内会がビアパーティーをやっているのを眺めながら(ちょっと肌寒いが、外で飲んでるビールはやはりウマそうだ!)向かった先は、お馴染みの『やきとり二口橋』。カウンターに座り、カミサンとビールをつぎあっていると出掛けに声をかけたなおなおが顔を出してくれた。3人で乾杯「おつかれさま~」何に対してってわけじゃないけど、杯を交わすと気持ちが和む。タバコに火を点けながら考える「実家に電話してみようかしら?」今日何度目かになる思いつきだが、何となく踏ん切りがつかない。もし今朝のが正夢だったら、同じように湿っぽい会話になってしまうだろうし「ねえ、死んだ?」なんて電話するのも不粋な話だ。「焼酎出してください」グラスに残ったビールを飲み干し、マスターに声をかけてボトルを出してもらった。
早くから飲みはじめたせいか各自それなりに酔いが回り、10時という長っ尻な我々にとってはめずらしい時間に会計を済ませた。店を出てY字路でなおなおに手を振ると、さっきから考えてた事をカミサンに告げる。「ねえ、カラオケに行かない?」「え~」「ちょっとだけでいいからさ」「やだよ」「お願い」「あたしは家に帰りたいよ…」「1時間だけ付き合ってよ、頼む!」「ほんとに1時間だけ?しょうがないなあ…」どうにか、カミサンを説得して家と反対方向に進む。何故だか、さっきから頭の中を同じ歌がグルグル回って止まらず、歌わずにはいられない気持ちに支配されていたのだ…カラオケ屋までの道のりでもボヤき続けるカミサンに「かあさん、前にあの歌を歌いたいって言ってたじゃん「どの歌よ?」「アレだよアレ…」などと苦しく気を使ったり、コンビニでのり巻きを買ってやったり…
どうにかカラオケ屋に入り、さっきから鳴り続けている曲『風味堂/LAST SONG』を入力「これでスッキリする!」と歌い始めると、途端に涙がゴーッ!鼻が詰まって歌えんと鼻をかんで、さあ歌うぞとマイクを持つとまた号泣…カミサンは「どうしたの?大丈夫?」と心配してくれているが、今夜も酒乱が発動したのかと怪訝そうにしている。「いや、大丈夫だから大丈夫」そう言うも説得力はなし。結局、もう1回チャレンジしたけどこの曲だけ歌い始めると涙がガーッで、まともに歌う事はできなかった。1時間後、お決まりの展開で店を出ると胸のつかえがスッキリ取れていた。「何か腹減っちゃったな」さっきのり巻きを食べたばかりのカミサンは、これ以上寄り道したくないというので閉店間際のスーパーで揚げ物を買い、家に帰って納豆ゴハンと共にガッツリたいらげた。う~ん、満足満足!
次の朝、父親からメールが届いた「チビが昨日の朝7時、安らかに息を引きとりました。お母さんはまだしょげているので僕が変わりに報告を…」猫は10年以上生きると『化け猫』になると聞くが、さすがに犬も17年生きると『化け犬』になるんだなあ…なんだろう、この強烈なお別れの仕方は?おかげで、昨日は一日すっかり心を振り回されてしまった。でも、離れて暮らすボクのとこまでちゃんとお別れに来てくれるとは、意外に義理固いやつだったんだな。ありがとう…そして、さようなら