禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻子と愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

2009年08月

蔵王龍岩祭'2009

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蔵王スキー場で毎夏開催されている野外音楽イベント『蔵王龍岩祭』に始めて行った。うちから30分もかからない近場にも関わらず、毎年なんだかんだジュンの具合が悪かったり天候が荒れたりで来れなかったのだ。有名なバンドが出演したりするわけではないけど、やっぱり野外で生音を聞きながら飲むビールは最高で、とても楽しめた。特に『越路姉妹』というバンドがとても完成度が高く、もの怖じしないMCも面白くてかなりかなり良かった。

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ゆうくんが、1人で3日間テント張って遊んでると聞いてたので、会場行ったら電話して合流しようと思ってたんだけど、思いっきりiphone忘れてしもうた…スマン!でも、テント張って3日とか2日とかのんびりして、バーベキューしながら音聞いて昼寝して…とか、最高だろうな…来年もあったら、テント持参で来ようかしら?観客があまり多過ぎないってのも良かったなあ…しかし、何でも参加してみないとわからんもんだなや

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え?なにソレこわい

来年の自分へ覚書。盆休み前後から昼間は暑くても夜は涼しくなるようになった。結局、一番暑かったのは7月後半2週~8月1週目くらいまでか…特に今週は、とても8月と思えないくらい涼しい。

イラストレーターでルポライターの内澤旬子さんが、今年春から千葉の房総で同居し育てた豚3頭をバラして「さあ、みんなで食うぞ」という会を開催する。9月29日(火)、場所は飯田橋で会費は2,500円(安い!)。コリアン・フレンチ・タイ料理のそれぞれプロの料理人が、3頭のブランド豚を精魂込めて調理!しかも、数ヵ月に渡り家族のように可愛がった育ての親である内澤さんを目の前にしながら食べるという…この、複雑な…実に複雑で贅沢な経験が、自分と食とを考えるアレにおいて凄く重要なアレをアレする気がします。関東在住だったら是が非でも参加したかった。ご興味ある方は、内澤さんのサイト『空礫絵日記』でアレをチェック!行ける人が羨ましい!

  

8月31日で南陽のBOOKオフが閉店する…昨日、おそらく最後になるであろう訪店をしてきた。雑誌全品半額、CD500円以下のもの半額やってた。なかなか出物もあって、ジュンと2人で1,000円ばかり購入。一番の収穫は、武田真治の写真集『毛玉』が50円!お金をかけられるずに失敗してる作品て笑えないけど、お金かけて失敗してるのって気持ちよく笑えて好き。雑誌の棚に、スクリーミング・マッド・ジョージの名著『変態』があった。この本、デカくてブ暑くて内容もギッシリでいい本だよ!ボクは持ってるから買わなかったけど、500円の半額250円は安い!お近くにお住いのB級ホラー好きは是非!

 

ジャック・ブラックの最新作『僕らのミライを逆回転』をDVDで観た。普通に「ジャック・ブラックがいつものキャラでドタバタ騒ぐコメディだべ」と期待せずに観始めたのだが、これがとんだ傑作で驚いた。まあ、相変わらずジャック・ブラックはいつも調子で騒いでいるのだが、作品がジャックに食われない…というか「ああ、ジャック・ブラックか…」みたいな、ストーリーの方が完全に勝ってる最近珍しいパターンだった。コメディタッチではあるけど、『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷佛とさせる、映画への愛と人間の成長を描いた感動作…とは、ほめすぎか?思わず、字幕版で観た翌日にもう一度吹替え版でも観てしまった。にしても、邦題ひどいな…原題は『Be Kind Rewind』、レンタルビデオによく貼られてたシール「巻き戻してご返却下さい」の意だそうな。邦題も、それで良かったんじゃないかしら?



去年だか中川翔子がブログで「キラッ☆」とか「ギザッ☆」とかしょっちゅう言ってたので、そーいうのが流行ってるのは知ってたが別に調べたりして見るまではしてなかった。が、酔ってYouTubeを徘徊してる時にフト思い出し検索…して、一度見てしまったらまんまとメロディーが脳に焼き付いて離れなくなってしまった。『星間飛行/ランカ・リー(中島愛』



いまだにハマったままで、iphoneに入れて朝から晩までヒマがあれば再生しては、ジュンに「朝からアニソンはやめろ!」とか怒られている。誰が作ったんだろう?と調べ、作詞:松本隆/作曲:菅野洋子だったと知った時は、どれほど安堵したものか…しかも、松本隆が自分のサイトでこの歌詞について愛を持って語ってるのも、ボクは凄く胸に染みてしまい…とにかく、さらに好きになってしまった。特に感銘を受けたのは、歌い出しの「水面が揺らぐ 風の輪が広がる」についての部分

松本 出だしは、水面の静かなイメージから始まるんだ。「す」は50音の中でも最も弱い音のひとつだし、「水面」「ゆらぐ」っていうのもすごく繊細なイメージだよね。水面に水が一滴落ちて広く拡散していく。次に出て来る「風の輪」っていうのは、自然界には普通、存在しないよね。つまりその裏には“爆発”が潜んでいるんだ。ここからだんだん強いイメージがフェードインしてくる。「風の輪“が”ひろ“が”る」で韻を踏んでいくと、綺麗に輪が広がっていくイメージになる(後略)

すごくない?すごく納得できる話じゃない?改めて「もう1回聞いてみようかな」と思わない?プロだよな…是非「キラッ☆」誕生の過程についてもお読みいただきたい。意外だったけど、すごく納得できるエピソードだった。いや、いい曲だよコレ

詳しくは、松本隆オフィシャルサイト『風待茶房』季節の松本「アニメソング(前編」をご覧くださいませ。



 

魂のゴール

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『海街diary』吉田秋生/小学館刊

漫画家として30年超のキャリアを持つ吉田秋生、ボクが夢中になって読んでいたのは中学生の頃だったか…『十三夜荘奇談』あたりの短編集から『河よりも長くゆるやかに』まで、その後の『BANANA FISH』などは、絵柄がそれまでの写実的でちょっとマイナーな雰囲気のある線から、割り切ったようないさぎよい線になってしまった事もあってパタッと読まなくなってしまった。それから、20数年…一昨年あたりから近作の良い評判を見かけるようになり、この本を手にとった。

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はじめは、「え、今度は山下和美?」という感じで絵柄に戸惑ったが、ドラマの丁寧な組み立てや、それぞれのキャラクターの魅せ方など「さすが」という感じでグイグイと引き込まれていった。次女・佳乃にピントを合わせ始まったドラマは、家族全体へと視点が広がり、腹違いの末娘・すずの物語にズームされてゆく…登場人物は多く、舞台も鎌倉の街を大きくとらえているので複雑だが、読者を無駄に混乱させないのは長く第一線で活躍する作家ならではの技術だろう。

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作品のそこここで感じるのは、そんな吉田秋生の漫画家としのキャリア…もそうなのだが、それ以上に人間としての年輪が作品にもたらしているリアリティ。OL、少年サッカーチーム、親類との距離感、そして医療の現場の患者・医師双方の立場からの感覚…それぞれ、本やTVから得た知識というより、自身の経験からその観察眼が拾い上げた“雰囲気”をドラマの中に落とし込む事に成功している。現行最新刊である2巻後半、長女・幸にピントを合わせた物語も、スタンダードではない(しかし現実世界では、決して珍しくない)母娘関係をそれぞれのキャラクターが強い説得力を持って振る舞い、深い感動のドラマを作り出している。

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看護士である長女・幸の説得力あるセリフ

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ぶしつけだが人の良い大叔母と、気丈な末娘

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吉田秋生の漫画には、よく困り顔の男性が出てくる。「えっ!」と驚き「は?」と戸惑い「やれやれ…」となるのだ

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『自分ちで作った梅酒』に憧れてたというすずの真意を知り「来年はすず用のアルコール抜き梅酒を作ろう」と提案する姉達。そして、ストレートに喜びを表現するすず。自分が大人でいなければならなかった環境の中で、子供心を殺していたすずの素直な感情、そしてそれを同じく素直に受け入れる家族たち…そんなドラマが、読んでる者の心をジンワリと暖める。

思えば、ガラリと絵柄が変わったあの時、吉田秋生は自分の資質を絵描きでなく漫画描きだ!と“腹を据え”た瞬間だったのではないだろうか?絵の優劣と人気が直結しない漫画の世界で、時としてデッサンや描き込みなど絵のクオリティよりリズム感や勢いの方が大事とされる漫画の世界で、「自分は生きていくのだ!」と強く決心した瞬間だったのではないだろうか?

集中して読んでる時は気づきにくいが、この単行本のページを無心でパラパラしてみると、キャラクターの動きの大きさとセリフの多さに驚く。これだけの情報量、どっかでリズムがチグハグになったら途端に読者の心は醒めてしまうだろう…これこそが吉田秋生の漫画力、“腹を据え”て20数年その道を突き進んできた漫画家の底力ではないか?…そんな風にボクは思いました。

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もちろん、線が細く影のある二枚目も出てきます。お約束!

 

 

うさくん

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『マコちゃん絵日記』うさくん/茜新社

『マコちゃん絵日記』は、LOというエロマンガ雑誌に連載されているギャグ漫画(非エロ)です。小学5年生のやんちゃで欲張りな女の子“マコちゃん”を中心に、友達や家族、そして学校での出来事が綴られています。描き文字や細かい絵の多いゴチャゴチャした作風は、決してとっつきやすいものではないけど、じっとり読み込んでるうちにクセになってしまう魅力があります。この作品の何が面白いって、それは作者である“うさくん”の人柄の良さに尽きるんじゃないでしょうか…良質なギャグ漫画って、どれも作者がどんな顔して描いてるか?みたいなとこが伝わってくるような気がするけど(するよね?ね?)、『マコちゃん絵日記』もまさに「うさくん、これきっと同じニヤケ顔で描いてんだろうな~」みたいなのがビンビン感じられる漫画であり、登場人物が誰しも心根優しい世界はキャラが立ってる立ってない関係なく、うさくんの人柄を反映しちゃってるアレだと思います。

うさくんは自分のサイトで日記を書いてたりするのですが、この日記からもうさくんの可愛らしさがビンビン伝わってきます。大袈裟な言い方ですが、インターネットの世界で他人の日記を10年以上のぞきまくっているボクから見て、うさくんの日記が一番可愛いいとすら思ってる。うさくん日記の何が素晴しいって、グチをすごく丁寧に書くトコですね…いやいや、マジで。ホントにいい人って“不平不満を持たない人”や“不平不満を外に出さない人”じゃなくて、“不平不満を丁寧に伝える事のできる人”だとボクは思っているので、バカな出来事に「バカじゃん」て一言しか出ないような人のバカさにボクは震えるし、逆に自分の憤りをしっかり語れる人を尊敬します。うさくんが同業者に凄く慕われているというのは、そういう部分にある気がします。

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元々、ほのぼのフワフワ系でギャグ要素のあるエロマンガを描いてたうさくん、いまエロマンガ雑誌で非エロギャグ漫画を描いてる現状について、こんな風に言ってます。

------うさくんはまだエロをあきらめたわけじゃないです。エロ描くの楽しいですし。でもずっと思ってるだけで実行できてないよ。わかっています。「エロは向いてないよ」とか「ギャグに専念したほうがいいよ」とかメールもらったりするし。そういう意見が多いのはわかってますけど。「向いてない」って言われて素直にやめるような人間だったらそもそも漫画家になってないと思うよ。そう思います。本当は毎月LOに限らず、エロく活躍してる作家のみなさんに対して悔しさのようなものを感じています。やっぱし。そういう気持ちは当然、皆さんお互いにあると思いますけども。うんうん。ないはずはないと思います。ライバルですから。競争ですからね。その辺のことも語りだすとすごく長くなるからやめるよー。もう十分長いですけども。------

熱い!うさくん熱いよ!でも、ボクもうさくんはエロよりギャグの方が向いてる気がする…良くも悪くもうさくんの漫画は、うさくんの顔が見えてしまうので、実用的かどうかってのも含めてエロには向かないと思う。かと言って、うさくんが作者の見えない漫画を描くってのも不自然な事になりそうだし…まあ、でもそんなうさくんが新しいエロマンガの世界を切り開いてくれるのかもしれないし、エロマンガの未来がセックス描写の過激さが高くなってゆくというだけのモノじゃつまらないので、その辺もうさくんの未来に負わせたいと思う。勝手に。

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出版社も『マコちゃん絵日記』単行本化には力が入っており、他の18禁エロマンガのコミックと同じ扱いにならないようこの一冊の為にFLOW COMICSというレーベルを新設したり、特設サイト(第一話が読めます)を作ったりと気合いが感じられる。愛されてるなあ…うさくん

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マコちゃんのお父さんは、ぬいぐるみ職人。“私の内臓綿ばかり(通称:わたわた)”という自分のブランドで、ちょっとイラッとするデザインのぬいぐるみを造ってます。売り上げは悪いが、一部に熱狂的ファンあり。

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『マコちゃん絵日記』は、基本的に男性向けであろうエロマンガ雑誌に掲載されてる作品でありながら、単行本発売記念サイン会のお客さんの1/3が女性、サイン会にあわせて2ちゃんのうさくんスレで声が上がり開催されたOFF会では、5人中4人が女性というくらい女性ファンが多いのですが、それはこの多美ちゃんというキャラクターに負うところが大きいような気がします。子供っぽさ全開のマコちゃん達のドタバタの間に、みんなより少し発育が良くて性に目覚めつつある多美ちゃんのような悩みや落ち込んだり…という、女性なら多くの人がマコちゃん達の年齢の時に感じたであろうモヤモヤが織り込まれている事によって、読んだ後にも心に残る何かをこの作品に与えている気がする。

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おそらく、多くの女性が思春期入口で戸惑ってる時…自分の心の中に、マコちゃんや多美ちゃんや聖羅ちゃんが同居してたんじゃないかしら?と思う。マコちゃん100%の子もいなかったし、多美ちゃん100%の人もいなくて、みんな色んな割合で『マコちゃん絵日記』のキャラクターが入り交じっていたんじゃないかな…だから、女性に人気があるのでは?なんて思った。ですじゃん。

 

 

天@才

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『デメキング〈完全版〉』いましろたかし/太田出版刊

狩撫麻礼いわく“平成のつげ義春”との評もある私小説的な作風(本人は私漫画と読んでる)にファンの多いいましろが1991年、それまでの“迷走する貧乏青年のやるせない短編ギャグ漫画”というイメージを残しつつも心機一転、長篇ストーリー漫画としてビジネスジャンプに発表した作品…それが『デメキング』である。しかし、作品に多くの謎かけを牽引する力が満ちぬまま失速…結果、14話で打ち切り。単行本化もされぬまま、人々の記憶から消えていった(その後『釣れんボーイ』で注目され始めた1999年に1度目の単行本化…この完全版は、2007年2度目の単行本化のもの)。

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正直、『デメキング』という作品単体でその内容を評価してしまうと、登場するキャラクター達は相変わらずのいましろキャラ達で魅力的であるものの、ストーリーの全容はほとんど見えぬ状態のまま終わっているので「なんとなく、心に残る」とは思えても「面白い」とまでは言えない作品であろう。んが、この〈完全版〉はオモシロイ!しかも凄くオモシロイのだ!というのも、巻末に“描き下ろし完結シーン”があり(かなり投げやりではあるが)、二段組12ページに渡るロングインタビューにて、どうして『デメキング』を描いたのか?全体のストーリーをどこまで考えていたのか?何でてこうなっちゃったのか?そもそも『デメキング』って何?まで、全部!赤裸々に語り倒しているのだ。しかも、かなり描き込まれ初期プロトタイプともいえる第1話のネームまで掲載され、最後の《解説》はインタビューの中でいましろが羨望と嫉妬を滲ませているヒット漫画の作者である浦沢直樹が『20世紀少年』と『デメキング』の意外な縁について書いているのだ。

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これは、もう…もちろん『デメキング』に魅力があるのは確かなんだけど、「ここまでのモノに!」というのは、編集者の力だよなあと思う。特にいましろインタビューの後半「100万部漫画を描いてるやつは“私漫画”は描けないんだから。こっちは逆に100万部漫画をやってから、今後はつげ義春をやってやろうか、みたいな。そんな生意気なことを考えてましたね。妄想でした。すみません…」から、その“100万部漫画を描いてるやつ”である浦沢の「あ、僕の考えてたこと、いましろさんがやってたんだ」という言葉までの流れは、編集者の自己満足でも作者に対する愛情でもなく、ただただ読者に向けた「どうだ!」っていうエンターテイメントとしてのモノ造り根性みたいなトコに感動すら覚えるのである。

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デメキングの全貌はハッキリと描かれてはいないが、要所要所で登場している…と、それはともかく『デメキング』の作中でボクが特に好きなのは田ノ浦少年探検団の買い食いシーン。

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田ノ浦少年探検団は、同級生からあまり相手にされてない中2の亀岡と小学生とのグループ。主な活動は「基地作り」「浮浪者の写真を撮りに行く」「手旗信号の練習」「キャンプ」「弱い者イジメ」「夜、自販機でジュースを飲む」など…かなりストーリーの鍵を握ってるにも関わらず、亀岡達が出てくるとどうも話しが脱線してるようにしか見えないのが楽しい。

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作者が、どんなに主人公・蜂屋に照明を当てようとしても、アホな亀岡達の方が輝いてしまうという事実が、“いましろにしか描けない何か”を導き出してる…というのが、悲しいながらも美しい。

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「………今日は金ないんや」

アホで粗暴なガキ大将にストンと影を与えてやると、コントラストが上がってグッとキャラクターに深みが増す。いましろが意図的に作り出しているのか、亀岡が勝手にしゃべってるのかは判らないが、主人公・蜂屋にこういうアプローチはない。

ちなみに3年後

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だよな。変わってないよな

 

 
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