禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻子と愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

2014年07月

やみよ

『木地師(きじし)』という、轆轤(ろくろ)を使い木製のお椀や盆を作る職人さんがいらっしゃるわけです。平安時代の近江国(滋賀県)が発祥と言われており、明治初期までは木地師だけが「山の木を自由に扱ってよい」と朝廷や幕府から許可をもらっていたとされてます。

その木地師が作った子供用のオモチャを木地玩具と呼び、東北だと“こけし”、九州だと“きじ車”なんかが有名ですが、他にもコマやケンダマ、ダルマオトシなんかも「懐かしい玩具」として誰もが一度は目にした事があるのではないでしょうか?全部、木地玩具なのです。

で、こけし…今は大好きなのですが、以前はなんとなく怖くて苦手でした。高度成長期に生まれ新興住宅地で育った自分としては、明るい照明の下に置かれた明るいカラーリングの人形やヌイグルミに馴染みが深く、祖父母宅の薄暗い居間の片隅でアメ色に変色しているこけし達は神秘的すぎて理解できなかった。でも、数年前に『木地師』の存在に興味を持ち、そっからこけしにも惹かれていったわけです。その頃、羊毛フェルトにハマりはじめたジュンに「何かおもしろいモチーフない?」と聞かれ、こけし作りをすすめたのがきっかけで、今も色んなクラフトマーケットでジュンの羊毛フェルトこけしは人気があり、猫耳つけたり小首をかしげたりと進化し続けております。

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話しがそれました…木地師の総元締めは永きに渡り近江にあり、それなりに情報も行き来してたらしいのですが不思議とこけしを作ってたのは東北のみ…それについては諸説ありますが、東北の温泉地の繁栄と関係してるらしいですね。まだプラスチックや金属のオモチャが無かった時代、農閑期の娯楽として温泉地での湯治があり、その時に家で待つ孫や親類の子らの為にお土産として一般庶民が買い求めたとされてます。

薄暗い場所に佇み地味なイメージだったこけしも玩具の少ない時代の子供達にとっては、色鮮やかなキティちゃんやリカちゃん人形のような存在だったのだな…と想像すると、グッと身近に可愛らしく思えてくるから不思議です。そんな風にこけしにまつわるストーリーに興味を抱くようになって数年、偶然Facebookで山形在住のこけし工人・梅木直美さんの雛人形こけしを目にし、生まれたばかりの娘への最初のプレゼントとして手にしたのです。こけしに興味を持ってからネットオークションや、温泉地のひなびた土産物屋で現物を目にしても「欲しい!」と思えるこけしに出会えなかったのですが、父であり蔵王高湯系の伝統を汲む梅木修一工人に師事し、こけしと向き合う梅木直美工人のストーリーに惹かれたのかもしれません…自宅にお邪魔させていただき、雛こけしと共に数あるこけしの中から娘に寄り添ってくれそうな一体をお迎えしました。

で、その時に以前から興味あった『やみよ』と呼ばれるこけしについて梅木直美工人とお話しさせていただきました。そもそも赤子のおしゃぶりとして単純な造形のものだった『やみよ』が、その構造を受け継いだこけしに発展していって…いや、まずとにかく名前がミステリアスじゃないですか?これも諸説あるのですが「胴体にはめられた輪が抜けないのと、闇夜に表へ出られない事をかけてる」とか「闇夜のように赤子が夜泣きせずに熟睡してくれる事を願って」、または胴にはまった輪から宗教的な意味を考察した説、こけしの発祥について回る“間引き”との関連説を穿った話し等、具体的に文献として残ってるわけではないので何が正しいのかは(闇夜だけに)闇夜に隠れて見えてきません。うまい!

まあとにかく、そんな『やみよ』の事をお聞きしたら「いま自分のとこでは作ってないが、たまに見かけるので今度出会ったら連絡しましょうか?」と言っていただいた。「どうぞ、よろしくお願い致します」と頭を下げて数ヶ月…ついに梅木直美工人が連れて来てくれた!宮城の新山真由美工人による『やみよ』!

写真 1

弥治郎系らしさが見える筆描きの襟元、そして何と言ってもこの腰にかかったリングが『やみよ』ならでは!本体に継ぎ目は無く、リングが一本の木から削りだされた物である事がわかります。この帽子の先や縁の部分が『やみよ』本来のおしゃぶりとしての役割で活躍しそうな気配をビンビンに感じさせてくれる!ていうか、いま乳幼児に大人気の玩具『なめられ太郎』にどこか似て…似てると思いませんか?

写真 2

ちなみに『なめられ太郎』の襟元にあるのは「パーカーのひも」だそうです。赤子がペロペロガジガジしたい物として特化してるのです!そんなわけで長々と書いてしまいましたが、少しでもこけしの奥深き世界の一端を垣間見ていただく事が出来ましたら幸いです。ちなみに、梅木直美工人の作品がいま山形県村山総合支庁のロビーに展示されているそうですので、ご興味持たれた方はぜひ足をお運びください。ジュンの『羊毛フェルトこけし』は、今年も蔵王龍岩祭の期間(8/22〜24)ロッジ伊澤さんにて販売させていただいておりますので、そちらもどうぞよろしくお願い致します。
 

山形市妙見寺『麺家かぐら本店』

山形蔵王インター近くの花蔵さんも広い座敷席と子供用イスが多く「家族連れウエルカム」な雰囲気のラーメン屋さん。昼休憩も無いので、忙しそうな時間をはずして来店できるのも嬉しい。でも、人気店なので昼時や夜の混雑は凄い、平日夜にこんな混むラーメン屋は山形では珍しい。

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花蔵さんといえばサービスのゆで卵。テーブルに置いてある辛子ねぎ味噌をちょっとのせていただくと美味しい。

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中華そば(580円)、節系のコクある醤油スープにプリプリちぢれ麺。あまり丸みの無いちょっと変わった形のドンブリなので一瞬量少なめに見えるけど、しっかりボリュームあって満足できる。トロトロのチャーシューも美味しい。

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鶏中華(690円)、たっぷりの鶏油に薄めの味付けが「普通のラーメン」じゃなく「鶏中華らしさ」を醸し出している。

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花蔵イチオシの鶏ごぼうラーメン塩(780円)、ネギ水菜ゴボウのシャキシャキとゴロゴロ入ってる鶏挽肉、コク深いスープとの相性が良く、一体感のあるイチオシにふさわしい一杯。200円安い中華そばでも満足はできるけど、オーダーを聞いてると鶏ごぼうを注文してる人が圧倒的に多い。これを食べたくてこの店まで足を運ぶ人が多いのだろうなと思う。

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そぼろごはん(230円)、ここに前述した辛子ねぎ味噌をを混ぜ込んで食べるとたまらない。平日17時まではサービスサイドメニューとして生卵と刻みチャーシューがのったまかない丼(100円)がいただける。
 

天童市芳賀『イオンモール天童 フードコート』

今年春にオープンしたイオンモール天童…イオンなら山形市内に2店舗、東根にもあるので「いまさら天童にもイオン?」という雰囲気もありますが、ここのフードコートがなかなか子連れには良いのです。

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まず、テーブルの数が多くスペースも広いのでベビーカー等が動きやすく停めやすい!

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そして、広めのソファー席がたくさんある(窓際グルリとソファー席です)!

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さらにさらに、フードコートとしては珍しく座敷席まである(6人掛け3卓のみだけど)!もちろん、写真を見てわかるかと思いますが…平日はかなり空いております!入ってる飲食店は、特に強く惹かれる店舗がある訳ではないですけど、マクドナルド・ケンタッキー等ファストフードからうどん・ラーメン・ステーキと一通り揃ってはいるので、色々縛りの多い子連れ夫婦の外食「あっちにする?」「それはイヤ」みたいな事で揉めた時は、ポイッとここに来て各々好きな物を食べるというのもアリだと思われます。

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ペッパーランチ系のステーキ&ハンバーグ店『KUNI'S』のビーフペッパーライスM(650円)とサービスステーキ180g(880円ジュース別料金)です。まあ、肉だよね…肉とタレ「牛だ」と言われれば「そうですか」と思う程度の牛っぷり!味はともかく、ペッパーライスのこのルックスは認めないわけにはいきません!ゴハンの白に黄色と緑と肉の赤!そんでバターとタレがジュウジュウいってんだもん…ちょっとした発明だよね。

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『おひつごはん四六時中』の甘海老明太子おひつ(590円)。この店おもしろいのは、色んなおひつごはん(というかドンブリ)を所謂ひつまぶし的な食べ方でどうよ?と提案しているわけなのです…おひつから茶碗によそって、一杯目はそのまま、二杯目は薬味をのせて、三杯目はダシ汁をかけてお茶漬け方式で。その中でこの甘海老明太子は一番安い部類、海鮮系だと790円とかうなぎだと990円とかでした。ごはん大盛無料。

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『長崎ちゃんぽんリンガーハット』の長崎ちゃんぽん(524円)。個人的にこのフードコートで一番コストパフォーマンス的に優れているのは、この長崎ちゃんぽんだと思ってます。何故なら無料で麺2倍にできるから!『杵屋麦丸』の寿司五貫とぶっかけうどんのセットも600円台と検討してますが、なにぶんフードコート内うどん屋の寿司ですから満足感を得るには、ちょっと力不足感が否めません。

まあ、とにかく特筆すべきはソファー席の多さと座敷席なのです!
 

河北町谷地『葵』

納豆餅で有名な葵さんも広い座敷席があって、子連れには利用しやすい店と思います。嬉しいのは、昼営業と夜営業の間の休憩が無いので、忙しい昼時を避けて訪れる事ができるのです。ただ、あんまりゆっくり行くと餅が終わり(=閉店)になってしまう時があるので要注意!

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冷たい肉中華(550円)。中華麺消費量日本一と言われる山形の夏のラーメンメニューと言えば『冷たいラーメン』が有名ですが、この『冷たい肉中華』も定番人気メニューと言えるでしょう。鳥ダシの優しい和風スープに、コリコリした食感のスライス親鳥がチャーシュー替わりに鎮座しております。ただ『冷たい肉中華』と呼ぶのは、ここ河北町の谷地だけで県内他地域では『冷たい鳥中華』で通ってるようです。冷水でしめられたプリプリ麺とコクのある鳥油がグッドマッチで、汗をかかずに美味しいラーメンを楽しめます。

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にんにくラーメン(600円)。普通の中華そばプラスにんにくラー油という個性的な一杯。家系とか二郎系とかいうラーメンが産まれる前時代に派生した“生きる化石”のようなメニューと言えるのではないでしょうか?こーいう個性的なメニューを注文し続ける事が、消えゆく遺産を後世へと残す…ゲフンゲフン。いや、しかし老舗の『にんにくラーメン』てこういう良くも悪くも予想外なものが出てくる事が多いので、個人的に強く興味をそそられます。

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普通のラーメン屋さんで『ラーメンセット』を頼むとチャーハンやギョウザがついてくるのが常ですが、葵さんでセット(麺類+150円)というと納豆餅がついてきます。この納豆餅が絶品!その日つきたての餅に納豆のねばりでトロトロになった醤油が絡んでツルツルと食べれます。もちろん納豆餅だけで注文する事も出来、葵さんの店内には「もち大食い番付表」というのが貼られ、横綱になると100個以上食べてたりします。そこらへんについては、以前一緒に食べに来た玉置さんが記事にしてるので興味もたれた方は是非ご一読ください。

忙しい週末のお客さんが引けたであろう夕方に伺ったのですが、見事に読みが当たって我々以外にお客さん一組というゆったりムード。座布団の上でコロコロしてる子河童に手の空いた女将さんが「あら、いい子にしてるのね〜エライね〜」なんてニコニコ話しかけてくれたりなんかして、両親達はヘラヘラしつつ納豆餅を食らう。赤子連れで飲食店…嫌がられる時も来るのかもしれないけど、今のとこどこも割と好印象。特に年配の女性の優しさが身に沁みます…子を持って初めて知る他人の情、ありがたいものです。
 

上山市十日町『リリー鮨』

出産前後で5ヶ月入院してた妻が、退院してまず最初に「食べに行きたい」と言ったのが、江戸前のキッチリ仕事されたネタが約10種類ものってるリリー鮨のランチちらし寿司(800円)。一応ランチタイムは14時までだけど、お客さんいないと早めに閉めてしまう事があるので13時ちょうどにノレンをくぐる…2卓しかない座敷席も1卓空いててホッと入店。

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この日もドンブリの中は、マグロ・コハダ・エビ・カニ・ホタテ・シャコ・イカ・タコ・ホッキ・タマゴ・白身と色合いは決して派手ではないけど、それぞれ丁寧に仕込まれた魚介がピカピカと輝いていた。

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幸い他のお客さんが帰った後だったのだが、食べてる途中に子河童がグズりだしてしまい「あららららら」と多少焦りながらあやしつつ食べていたら、決して愛想いい印象があったわけでない(すいません)店のおばちゃんがボクの横にスススとやってきて両手を差し出す。「?」と見入ると「ほい」と言うから恐る恐る子河童を渡すと…おばちゃんは見事なムーヴ(赤子を抱き上半身を横移動させながら下半身は優しく縦揺れするという高等テクニック)をキメる。子河童もグズるのを止めおばちゃんのムーヴにうっとり…「さすがですね、その動き!」と感心すると、おばちゃんは「もう抱き方なんて忘れちゃったよう」なんて言いながら満更でもない表情。慌てて米をかき込みつつ何度か子河童を抱こうとしたが、結局おばちゃんは食べ終わるまであやしててくれた。

夫婦で「ありがとうございました」と何度も礼を言い、ついでに以前から気になってた店名の由来を質問してみた。なんでも、居抜きで入ったこの場所は以前カフェを営んでおり、その店の名前が「リリー」だったそうな…定着してる店名をいただき、そのまま鮨屋にしてしまったと…そんで、こんな鮨屋らしからぬ名前になったわけですね。おばちゃんは「もうずいぶん昔の話しなんだよお」と笑いながら教えてくれた。
 
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