DVD『しゃべれども しゃべれども』を見た。期待し過ぎたってのもあるだろうけど、なかなかつまらなかった。前半ヘタクソだった国分太一の落語が、紆余曲折を経て最後の舞台でグッとうまくなる!という展開なのだが、無理があった…最後までヘタクソなままだった。取ってつけたような恋愛要素も、説得力がなくて違和感があった…制作者はもうちっと、萌えアニメでも見てツンデレについて勉強した方がいいと思う。

酷かった国分に比べ、伊東四郎の落語は堂に入ってて格好良かった…コメディアンとしてのキャリアのちがいもあるが「落語の事わかってるんだな」と思わせる何かがあった。

胸を張れる程の落語ファンではないが、父親が好きだった事もあり小学生の時から色んな名人の落語を聞きまくった自分に言わせれば…というか、言わせていただくなら、落語ってのは1人芝居や朗読劇ではない。むしろ、居酒屋のカウンターで会社の事をおもしろおかしく語っているオヤジのバカ話に近い気がする。なので、声色を変えるとか、誰がしゃべってるかわかるように体の向きを変えるってのは、テクニックとして行うべきものではなく、自分の語りにノッちゃって思わず体が動いたり女言葉になったり…という方に源泉がある気がする。だから、一語一句完璧の覚える事や、アクションをテクニックとしてマスターする方に気持ちがいくと、どんどん本来あるべき“与田話”から離れてしまい、聞いてる人はどんどん笑えなくなってしまう…ような気がする。なので、最後の舞台の『二日酔いの上に迎え酒したら面白く話せた』ってのは、ある意味真理かもしれないし、原作本の評価が凄く高かったというのもうなずける。でも、国分太一はない。偉そうでゴメン。