アジアン雑貨屋台用の荷物をクルマにぎっしり詰め込み、会場に向かいながらジュンと話していた。地方ならではなのだろうか?こういうイベントだけでしか会わない友達というのが、結構たくさんいる。青空の下、音楽聴きながらビールでも飲めたら最高!そーいう機会があり足を運ぶと見知った顔が…酔いにまかせて挨拶し、なに話すわけでもないが何度か会ってるうちに友達になってる。酒を持ってれば「ま~どうぞどうぞ」とグラスに注ぎあって乾杯、タバコが無ければ「1本ちょうだい」と平気で言えちゃう…普段どこで何してる人か詳しくは知らないけど、妙に気が合う…というか、顔合わす時はこっちもむこうも必ずニコニコしている。

6bc775af.jpg


都市部だとイベントの数も多いしとにかく人が多いから、少しくらい趣味趣向が似通っててもスタッフだったり出店者じゃない限り「おや、また会いしましたね」という事は少ない気がする。どちらがいい悪いかは色々なのだろうが、CBJAMではそんな風に「久しぶり!」「元気だった?」と数カ月ぶり、もしくは「去年のCBJAM以来だね」みたいな仲間がたくさんいるので嬉しい。2年ぶりの笠原さんは、かわいらしい婚約者を連れて来て紹介してくれた…2人共ニコニコしていて可愛らしくてしょうがない。

2fe28a7a.jpg


屋台を作り、開店準備してるジュンをチマチマ手伝いながら、店の裏でポチくんとタッシーにビールを渡し一足先に乾杯しちゃう。前週あたりから秋の空気が漂い涼しくなってきたが、今日は暑さがぶり返したかのように感じる…苦いベルギービールが爽やかに感じられ美味しい。いつものように『maqaroni』の演奏で雰囲気が上がり、夕暮れが深まると共にお客さんの数も増えてくる。ジョッキを片手にフラつけば、あっちこっちに知った顔があって破顔一発「乾杯!」となる。酔作チームとも固い握手で挨拶。ジュンの『毛玉工房』にも、馴染みのお客さんやTwitterで出店を知り駆け付けてくれた方達で賑わっている。

338bf673.jpg


軽い気持ちで『ひとり屋台村』のタコ焼きを手伝ったのが運のつき!行列できちゃって参った参った!巻き込んだポチくんと大汗かきながら、タコ焼きをひっくり返しまくった。今までずっとヒデちゃんに「店、大変だったら手伝うから言ってね~」と吹きつつヘラヘラ酒飲んでたバチが当ったのかもしれん。買おうと並んでたオバチャンが、列から抜け「見てらんないよ」と入って来て、かなり長いこと一緒に焼いてくれた…後から皆に「あのオバチャン誰だったの?」と聞かれたが、知らないんだよ、見ず知らずの祭り好きなオバチャンだったの。

21445e16.jpg


ステージには、伝説のヒーローが現われ(本人が「僕と今夜会ったこと絶対にナイショだよ?」と言ってたので詳しくは書けないが)毎年恒例巨大キャンプファイヤーに火が灯され、サプライズの打ち上げ花火に皆が感動し、ステージの演奏もこの夜一番のピークを迎える。思わずタコ焼き係を放り投げ、iPhoneのカメラを起動させながらステージへと走った。



どうよ、この感じ!サイコーに気持いい!半裸になって踊ってる人も遠巻きに眺めてる人も皆笑顔だ。おそらく今までのCBJAMで、一番盛り上がってる瞬間では?凄いぞ!スゴイ!と、テンション上がり過ぎ&タコ焼き係疲れ過ぎでフラフラになり、珍しく泥酔する前にダウン…珍しく0時前に寝袋の中へ…何分寝てたのか、気持良く聴こえてきたのは、キャンプファイヤーの傍らで演奏する半田くんの歌声。テントの天井から覗く星空を眺めながら、ボンヤリと聴く「明日を待っている僕の元に何か♪贈り物が届けばいいなあ」



音楽業界の衰退が叫ばる昨今、レコード会社の利益減少を世間と音楽の関係が薄れているかのように語る声もあるが、こうして所謂メジャーレコード会社の手を介さずに、自分が本当に作りたい音楽を自分の手で作り、安価な自主製作盤として、又は身近なライブを通して人々の元に届けようとしているアーティストは少なくない。祭り囃しが誰の物でもないように、この夜演奏された音楽はすべて“この場にいる人達だけの物”だった。デパートの商品棚からCDが消えゆくのは悲しいむべき事なのだろうけど、そうして音楽は“企業の物”でなく、アーティスト自身が紡いだ輪の中にいる人達の掌へと帰ってゆくのかもしれない。テントから出ると、たくさんのロウソクが幻想的に輝くその先に、半田くんの音楽に身を委ねる人達のシルエットが揺れていた。

fe2f53f6.jpg


最後の出し物は、毎年恒例となった感のあるジュンの『童話朗読』。Takさんに手招きされ一緒にワインをラッパ飲みしながら聞いていると、かわいらしい女の子が「隣いいですか?」と座ってきた。何故かボクにピタッとくっつくとジュンを指差し、「あの娘、あんなカワイイのに酒豪キャラなんだよ~おもしろい!」と言って笑う。うん、よく知ってる。写真を撮っとかないといけないなと立ち上がり、しばらくして戻るとかわい子ちゃんは、Takさんのヒザ枕で寝ていた。ホントにジュンの朗読で寝てしまった姿に笑った。ヒデちゃんの特製中華そばをいただき(おかわりまでして)再び寝袋に戻った。

4aa2040f.jpg


深夜3時頃にマイクを使って怪談話をする声が響く…誰がやらせてんだよ?と一瞬ムッとするが、こういう脱力するような事象がCBJAMを深刻なトラブルから遠ざけてくれているんだと、割と真剣にボクは思っているとこがあるので「そっかそっか、今回はコレか」と無理矢理納得し、とりとめのない怪談に耳を傾けた…逆に怖くなるくらい怖くない話しだった。

最初は単なる内輪だけの“ロックフェスごっこ”だったCBJAMだが、年々動員が増え特に今年はかなり地域の目を意識した『町のイベント』としての側面が強化されたお祭りになっていた。元々、河原でバーベキューしてる男女仲良しサークルがあれば、森の影から覗き見ては「ケッ」と悪態ついてたような実行委員のクセ者達が、果たしてこの変化の中でも結束乱れずに事を成し遂げられるのだろうか?地域の気難しい大人達やお客さん気分で集まってくる人達に気分を害し「俺はオメーらのためにやってんじゃねえ!」とケツをまくってしまうメンバーがひとりくらいいるのでは?と密かに危惧していたのだが、開けてみれば何の事はない、今まで見た事ないほど実行委員メンバー全員が働き、走り回っているではないか!ボクなんかが想像してた以上に、彼等は大きくなった自分達のお祭りに誇りを持ち、責任感を抱えて各自の役割を全うしようと頑張っているのだった。

何だか俄然“これから先”が楽しみになってきた。こないだの芋煮会で会った樹くんは、すでに来年の算段を語りはじめていた!来年はさらにCBJAMを進化させると目を輝かせる彼に皆が好き勝手言って爆笑している。今までもそうだったように、来年もまた何かの【縁】で繋がった仲間が全国…いや、ここ数年外国人の参加者も多いから世界中?から、名前くらいしか知らないけど毎年笑顔で乾杯してくれる友に会いに、山形の森の中へと集まるのであろう。それが、どれほど素敵なことかボクは知っている。