禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻子と愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

感想文

蔵王龍岩祭2012《2》

《続き》

ステージを満喫し、すっかり汗をかいてしまったので「温泉で流してこようぜ!」と、しゅんとポチくん男3人で温泉街の公衆浴場へ…濃厚な硫黄の湯を堪能!しゅんは最初「熱い!熱い!」と言ってたが、最終的には我々が「それ以上入ってると湯当たりして、お母さんに叱られるから…」と説得しないと上がらない程気に入って浸かってた。

ロッヂイザワに戻ると『Lounge439』が始まっており、踊ってるお客さんもチラホラ…Nonsence-Izawaさんが「これから出番なんで、BEEくんと店番お願いできませんか?」というので快諾。芋煮の鍋の前でBEEくんと酒を売り、Takさん自作のサングリアを飲んだりヘラヘラやってると、打ち上げしてた“越路姉妹”のメンバーの皆さんが『Lounge439』に!女装してないとイケメン揃い!ボクは店番しつつだったし…緊張しちゃって、緊張しちゃいまして、緊張しちゃいましてまして、失礼な事にあまり同席できなかったんだけど、ジュンがガッツリお話ししていた。

その間も知り合いがドンドン現われる…CBJAM関係の仲間や、Nonsence-Izawaさんを通じて知り合った友達、で、目の前にはファミリーであるポチくんとなおなお母子にジュンがいる!そして、よう子さんが「オト~ヤ~ン」と手を振り、和子さんがこっちを指差しジュンと何かを話して笑ってる…ふう、リアクションに困るぜ。そうこうしてるうちに店内は大混雑!冷蔵庫の缶ビールは売り切れてしまい、店奥のDJブースがある方から踊ってる人が溢れだしてきている。

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相変わらずBEEくんと戯れていたら、ふと入口のドアを開けた男性に目がいった…以前仲良くしてたけど、揉め事あって疎遠になってた友人…会ったの8年ぶりとかかな?目が合って、ハッとなって、バッと握手して、ガバッとハグしてた。嬉しい。しばし、近況を語り合う…ジュンの事も心配してくれていた。昔のように仲良く…とは思わないが、こうしてどこかで会う事もあるだろう、そういう時に気まずくはなりたくない。まだ、クリアしなくちゃいけない問題は小さくないが、ハグできただけで互いに気持ちは通じ合えた。

Nonsence-Izawaさんの90分のステージが終わり、店番ヘルプ終了!よう子さんが待っててくれたので、隣の席に座り色々お話しさせていただく。恐縮してしまって、聞きたい事もまともに聞けないようなフニャフニャ星人だったが、共通点や関わり事など“縁”が強くて驚いた。今月末、また上山にライブに来るというので(なんと『かかし祭』の『かかしde音楽祭』に出演するとのこと)、その時にまた飲む事を約束し一緒に写真を撮っていただき、よう子さんは部屋に戻って行った。

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結局、そのまま『Lounge439』で1時過ぎまで飲んでいた。最後、ベロベロになったポチくんが初対面の髭の男性に「何かあったらオレここの305に泊まってるんで、来てください!」と熱弁してたのが、おもしろかった(言われた男性は「うそ〜又そんな事言って〜」とニコニコしてた)。部屋戻って、歯みがいてバタンキュウ!

翌日、ボクは昼過ぎまで二日酔いでグッタリ…ポチくんは朝イチで山を降りて仕事に向かった。偉いナア~

ロッジイザワのレストランでカレーライスを食べて、どうにか胃を動かす。部屋を片付けチェックアウト、車に荷物を詰め込み徒歩で温泉街までテクテク…昨日は素晴らしい晴天だったが、今日は曇天で雨がパラパラ降ったりドシャッと降ったり…嫌な感じ。奥村で中華そばをすすっていたら本降りの雨がザザザーーッときてしまう。夕方からの知久くんのライブ、楽しみだったがこの雨の中小学生を含む4人でズブ濡れは悲惨だな…と「諦めて帰ろう」宣言をして、皆の了解を得るが店を出るとスッと止んだ。「じゃ、会場まで行ってみっか?」「ちょっと待ってみっか?」「あっち覗いてみっか?」と、どうにかこうにか時間をつぶし、ついに夕方!

念願の知久寿焼さんのステージ…良かった!スゲエ良かった!唯一無比なアノ佇まい!アノ歌声!時間がたつのを忘れるような濃密な空間を満喫させてもらった。昨日の“越路姉妹”の時に最前列左端で踊ってたEXILEみたいな人も、知久くんの音で激しくEXILEぽいダンスをしていた。自由だな!おまえ意外に自由だな!知久くんがMCで「これくらい涼しいと過ごしやすくていいけど、夜は寒くなるのかな?」と聞いたら「そうです」みたいな小さく応える人の声をかき消すように、EXILEが妙に通る声で「そうでもねえ」て言ってたのが笑った。知久くん「あ、うん、え?へえ…」みたく変な感じになってた。

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最後の曲でまさかのドシャ降り!知久くんが思わず「無理しないでいいから、みんな屋根のあるトコに行って」と言ったら、ステージ近くの人達は(ステージには屋根があったので)ステージにピタッとくっついて、つまりガブリ寄りみたいな距離になった。みんな知久くんの曲を至近距離で聴けて「ちょっとラッキー☆」みたいな感じだったけど、EXILEは何故かステージの上で片ヒザ抱えて座っていた。ホントに自由だな!

どうにか曲が終わり、ステージ後方の屋根がある場所で半田くんたちと「いや~良かったね」なんて話してたたら、ミツオくんがちゃっかり知久くんの著作を持って来ていて「サインもらいに行く」と言うので、後ろから写真撮ってやろうと付いて行った。見事ミツオくんはサインをもらっただけでなく、ビックリするような言葉を「サインと一緒に書いてもらえませんか?」と頼み、知久くんもビックリしてたけど書いてもらい一緒に写真も撮ってもらっていた。何を書いてもらったかは、ミツオくんの宝物だろうからここに記すわけにはいかぬ!そんな気はなかったのだが、ジュンが「あたしたちも一緒に撮ってもらおう!撮ってもらいたい!」と言うので、3ショットを撮っていただいた。ミツオくんのおこぼれをさずかった気分である。

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帰り道、しゅんが「月が見てた♪月が見てた♪」と知久くんの歌をくちづさんでいて嬉しい気持になった。ジュンとなおなおと3人で「帰らずに見てって良かった」「危なく帰るとこだったね」と笑った。

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蔵王龍岩祭2012《1》

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蔵王温泉で毎年開催されている『蔵王龍岩祭2012』に行って来た。去年から会場が温泉街に近い上の台ゲレンデに移動になったのだが、上ノ台といえば毎年新年会にお招きいただいているロッヂイザワの真ん前!今年はロッヂイザワのレストランで、酔作メンバーが『Lounge439』を催すというので、これはヤバいだろう!と泊まりでガッツリ飲みに駆け付けた。

龍岩祭は、入場無料のフリーフェスであり、所謂大物アーティストみたいな人達がバンバン出演するわけではないが、クセ者系のバンドやシンガーが多く、2年前にも“越路姉妹”という素晴らしいバンドに巡り会ったりしてたのである。今回はその“越路姉妹”とパスカルズの“知久寿焼”さんを楽しみに訪れたのだが、やはり新たにカッコイイバンドを見つけてしまった。“EL SKUNK DI YAWDIE”というギターボーカルとパーカッション(カフォン)2人組の岩手のバンドだ。ラテンでロックでジャジーでロカビリー、演奏はセッション要素が高くフリーキーだが歌メロはキャッチーで、ボーカリストの声質も南佳孝やスガシカオを彷佛とさせる「いい声」なので、観客の耳を飽きさせない。ギターのリフにのせて「俺達、リハーサルもやんないしセットリストもありません」と見栄切るカッコツケも悪くない。終演後「良かった!」とテンション上がったポチくんと一緒に、メンバーの方に声をかけ自主製作CDを譲っていただいた。

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芝生に座り青空を見上げ、夏の終わりの陽射しに照らされながらビールをあおって、大音量の音楽を楽しむ…たまらん!と思いつつ、この時4ケ所ばかりブユに刺され翌日から酷い痒みに苦しまされる。やっぱ、山をなめたらイカン…短パンなんか履いてたらアカン!

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空が夕焼けに染まり出した頃、ジュンが「オトウヤン…どうしよう!」と言うので何かと聞いたら、“越路姉妹”のボーカルよう子さんが、出番直前だというのに我々に会いに来ると言うではないか…実は、Twitterの越路姉妹アカウントをフォローさせていただき、馴れ馴れしく声をかけさせていただいたりしてるうちに仲良く…というか、よう子さんがジュンのブログを読み込み我々に思い入れを持ってくれ、しかもバンドメンバーにまで布教してくれてるとか…

遠目でもハッキリわかる全身ラメドレスで金髪ウイッグのよう子さんが、ステージ脇からファンの女子の輪を裂き、キラキラと夕陽を反射させながら傾斜を上がってきて「オトウヤン!会いたかったわ!」とハグされる衝撃!何故この時の光景を動画撮っといてくれと誰かに頼まなかったのか、冷静な今は後悔しているが、ビビった…よう子さんは我々の隣にストンと座り、ボトルビールではじめましての乾杯!「ライブが終わったら、一緒に飲みましょう!」と言っていただいたりしたが、こちらとしたら半信半疑…そりゃそうだ、今までステージ下からポカンと眺めてた我々が声をかけていただけるなんて思ってもみない事だ。二言三言会話してるうちにステージから「よう子さ~ん!マイクチェックお願いします!」と声がかかり、「じゃあ、また後でね!」とラメドレスの裾をたくし上げ、筋肉質の足をむきだしにするとよう子さんは「ドドドドド…」て感じで、ステージへと駆けて行った。

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2年前の龍岩祭、去年の上山城JAZZフェスに続き3度目の“越路姉妹”は相変わらず素晴らしかった。ギタリストが2人になり、以前はバッキングやソロはもちろんフロントマンとして歌い踊り、よう子さんのMCへツッコミ入れつつチューニングをして(しかも上山城の時はストラップが切れたりして、さらにワタワタ)…だった和子さんだが、負担が減り、その分アクションが大きくなってプレイにもメリハリが出て、グッと良くなった。和子さんが敬愛するランディ・ローズを彷彿とさせる白いレスポールカスタムと極太ストラップも似合っていた!

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新しいギタリストの雪路さんもギターの腕はもちろん、いい意味で女装が似合わない方で(メイク落とした後にお会いしたら、とてもイケメンでした)実にナイス!よう子さんも伸び伸びと…気真面目でつい苦悩と寄り添ってしまうよう子さんが、鬱屈とした業を引き裂くように歌い咆哮する声は、やはり影のある日式昭和ブルースの香り漂う“越路姉妹”の音楽と渾然一体になって、夜の蔵王山頂へと響いていった。

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フリーフェスだから、単に“越路姉妹”のファンだけでなくフェス自体のファンや、EXILEみたいな人や、ただ酒飲んでブッ飛んでる人もたくさんいたけど、とにかく皆その場で“越路姉妹”にノックアウトされて、腕を振り上げ踊っていた。ステージ脇のたいまつ前で、女装というか…メリハリの効いた巨体のオカマって感じの方も情熱的に踊っていた(てっきり、よう子さんの仲間かと思って後で聞いたら「知らないわよ~」と言ってた)。とにかくみんな笑顔で踊っていた。そして、ステージ上のメンバーが一番笑い踊っていたのが眩しかった。

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《続く》
 

CBJAM'2011 写真

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『チェリーボーイジャンボリー2011』無事終了致しました。今回は会場変更という事で色々と不安もありましたが、代表3名をはじめ、実行委員会のみんなの頑張りとラッキーでひょいと乗り越え、例年以上の楽しい時間を造り出す事に成功していたと思います。CBJAMのパスをぶら下げていたすべての人に「おつかれさま」「ありがとう」と言いたい。「言いたい」とかいって、撤収の時に酷い二日酔いで誰にも挨拶せず帰ったボクなわけなのですが…スイマセン

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今年は、なおなおがジュンと一緒に毛玉工房の店番をやってくれたので、ボクは思うぞんぶん徘徊し写真もたくさん撮ったので、ペタペタ並べてみたいと思います。

 
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ARABAKI ROCK FEST 2011

毎年観に行ってる宮城のロックフェス『ARABAKI ROCK FEST』に今年も行って来た。本当は例年通りゴールデンウィーク前半に開催される予定でチケットも売り始めていたが、震災の影響で延期開催となった。中止も検討されたとの事だが、多くの開催希望の声に押され夏の日程が発表された時は、正直ちょっと覚悟していただけにググッと嬉しかった。

で、実際行ってみてスゴク感動したのは『ARABAKI ROCK FEST』が、いつもの『ARABAKI ROCK FEST』だったのだよ。「震災復興」や「がんばれ東北」みたいな、今や東北の町のそこかしこで見かける販売促進ツールとして利用されてる安っぽいコピーの類いがほとんど無く…もちろんゼロではなかったけど、極力そういった言葉を使わず…いつもと同じ、音楽好きな人達が日常を忘れて踊り歌い食って飲んで…という、ロックフェスとしてあるべき環境を主催者が、作ってくれていたのだ。これは、きっと我々が想像するより大変な努力を必要としたんじゃないかと思う…今やお金が動く場所には、どこにでも入ってくるからね「震災復興」「がんばれ東北」。

そんな風に“いつも通り”なARABAKIだったが、もちろん何もなかったわけではないので、“いつも通り”じゃない風景もたくさんあった。一番それを強く感じたのは、アーティストの動揺…大きな被害を受けた宮城で、観客の中にも被災者がいるであろうフェスのステージで、震災の事をどうMCするか?触れるのか触れないのか?どう振舞うべきか…基本的な姿勢は事前に決めているのだろうけど、実際ステージに立ってどういう態度でいるべきか、すごく探ってるように見えたし、悩んでいるように見えた。

でも最終的に、多くのアーティストはステージで腹を括る事が出来ていたように見えた。というのも、観客の音楽を欲するエネルギーが今回はホント物凄かった!音楽を、フェスを求める気持ちが半端無かった!3.11以前の「チケット買えばライブなんかいつでも行ける」みたいな気持ちは薄く、いま自分が『ARABAKI ROCK FEST』に参加できてる事へ対する喜びと感動が大きく、そんな想いが激しく体を揺さぶり、叫び踊らせる原動力になっていた。アーティスト達もまた、あまりに強く欲されている事に最初は戸惑い、しかしやがて“自分達の役割”に気づき、腹を決めて声を張り上げ、ギターをかき鳴らし観客の求めに応じ力の限りを出し尽くそうと熱くなっていた。仙台港で開催された第1回から参加しているが、今迄ボクが見た中で一番熱い『ARABAKI ROCK FEST』だったように感じた。

以下、見たもの一言雑感。長いのでたたみます。

 
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我最近鑑賞DVD也

『ガマの油』2009年公開
役所広司初監督作品。家族の死や自分自身と向き合うというような重いテーマもありつつ、全体を緩いユーモアが包んでるので安心して見ていられる。長年に渡り多くの作品に参加してる役所だけあって、飽きさせず、ちょっと難解なテイストも匂わせつつ…といった巧妙な映画作りが、初監督とは思えない。役所・小林聡美・瑛太という芸達者に加え、元K-1選手の澤屋敷純一・沖縄出身ローティーンモデルの二階堂ふみという新人というか野人2名をメインキャストに起用し、演技上手だけの世界を壊す“画面上の躍動感”を作り出している。もう一度見たくなる映画。



『山形スクリーム』2009年公開
タイトルに“山形”が入ってるしロケも山形だしってんで、ちょっと何に対してかは分からないけど期待感ありつつ見たら、相変わらずいつもの竹中直人が(いい意味で)悪ふざけしてる作品だった。役者として成功してからの竹中より『東京イエローページ』が好きだった人が見ると歓喜できるような雰囲気…「そっちの方がスンゲ~」までは出なかったけど「スッゲ~痛え~」は連発していた。特筆すべきは温水洋一役の温水洋一とか、いつも通りの神戸ちゃんの存在感とか…。個人的には、このまま毎年シリーズ化して全国47都道府県スクリームして欲し…かったなあ



『モンスター』2003年公開
娼婦であり連続殺人犯アイリーンの残虐性は、TVのバラエティ番組などで何回も取り上げられてるのを見て知ってはいた。その役を美人女優シャーリーズ・セロンが、13kg太り眉毛を剃って演じたというエピソードを聞いて興味を持った。果たして映画の内容が全て事実に基づいたものでは無いにしても、バラエティ番組の殺人鬼キャラより余程リアリティのある、自身の性格と境遇両方から追い詰められた先にあったのが“人殺し”であった…という描き方には説得力があった。特に連続殺人を行っていた時期のパートナーの存在は大きく、演じたクリスティーナ・リッチのキャラクターもあり、ステレオタイプな“殺人鬼アイリーン”の印象は薄くなり、同情の気持ちさえ感じた。セロンは、この役でアカデミー主演女優賞を獲得している。



『アンビル!夢を諦めきれない男たち』2009年公開
活動歴30年以上になるカナダのヘヴィーメタル(以降HM)バンドのドキュメント映画。冒頭、1984年に日本で行われた野外イベント『SUPER ROCK'84』のシーンがANVILのキャリアの頂点として描かれている。以降、同期や後輩バンドに人気を奪われてセールスは低迷し、ANVILは意地だけでバンド活動を続けてゆく…パートタイムの仕事で何とか家族を養いつつ「どうにかもう一旗」の夢と厳しい現実の狭間で苦しむ姿、本当に好きなHMミュージックに没頭しエンジョイする姿、ボーカル&ギターのリップスの天性の快活さが救いになり、ドキュメンタリーではないにせよ同じように華やかに見えるエンターテイメントの世界で一度は成功を納めたが、その後は生きるので精一杯という裏舞台を赤裸々に描いた映画『レスラー』とは一線を画した明るい印象になっている。ラストシーンは再び日本、『LOUD PARK 09』という大きな舞台へ向かいながら「でも、客席がガラガラだったらどうしよう?」とビビるリップス達を迎える、幕張メッセいっぱいの観客!という…まさかの日本ではじまり日本で締めるという作りに驚いた。

HMに造詣のある人以外はあまり知らないかもしれないが、日本のHMファンが熱心で義理堅いってのは海外のHM/HR系ミュージシャンには広く知られている事実なのだ。よくTVドラマや漫画に登場するHMファンというと、鋲打ち皮ジャンにスリムのGパン・派手なメイクに金髪!みたいなイメージだったりしますが、そういう何か別のものに変身しちゃってる人は希少で、大多数は普通の人…むしろ少しおとなしめの人だという印象を持ってるのはボクだけではないはず。10代の時に友人達がハマってるアイドルグループや、ちょっと照れるような熱いメッセージを投げかけてくる邦楽ロックに馴染めなかったような…少し大人びた性格の人が、テクニカルで“構築美”と呼ばれるような複雑な曲構成を良しとする世界を持つHMに惹かれ、苦労して訳した歌詞が「地獄・悪魔」ネタ満載であっても一歩引いて微笑みながら受け入れ、友人がアイドルたちから卒業してくのを尻目に、HMファンはお気に入りのバンドを応援し続け数年間隔でリリースされる新譜を心待ちにし、来日公演で声を合わせ歌う事を何よりのリフレッシュと捉え愛し続ける…

おっと、思わず熱く語ってしまった。個人的には、HM/HR系バンドのプロデューサーとして著名なクリス・ダンガリーディス(過去にはLOUDNESSやANTHEMなど日本のHMバンドとも仕事をしている)がANVILの新譜デモを聞いて「ぜひ一緒に仕事したいが、それには200万円必要だよ」というエピソードの生々しさが半端なかった…そして、その200万円をリップスの姉が工面してやるという展開も含めて。いい映画だった。



『フィッシュストーリー』2009年公開
数年前のARABAKIで斉藤和義が「とある映画で音楽を担当をした」「その作品の原作者と共作した曲を今から歌います」と語り、演奏されたのが『ベリーベリーストロング~アイネクライネ~』という印象深いドラマのような曲であった。その「とある映画」がこの作品であり「その作品の原作者」が伊坂幸太郎であった。そんな前知識を持ちつつ、特に何も期待せずに見たこの映画だが、とても面白かった。4つの時系列バラバラのストーリーが混在する複雑な脚本なのだが、混乱する事なく見れたし、読めない展開に引き込まれ、伏線をキレイに回収したラストにカタルシスを感じることも出来た。劇中、ストーリーの鍵となるロックバンド『逆鱗』の演奏する『FISH STORY』という曲が繰り返し流れるが、これが斉藤和義だけあって聞く度にどんどん良くなってくるんだ…最初は「まあソツないけど荒削りだな」くらいの印象が最後には「いい曲だなあ~」と好きになってしまった。



『サマーウォーズ』2008年公開
引っ込み思案な男子高校生である主人公の夏休みに突然降り掛かる“世界を揺るがす戦い”と“憧れの先輩との恋愛”の物語。劇場公開時の動員は123万人、DVDやBDも大きな売上げを記録したが、識者の評価はあまり高くなかった。ボク等がティーンエイジャーの頃は、自分達の年頃向けのアニメ映画が結構あった。銀河鉄道999やハーロック、あしたのジョーやうる星やつら等、子供っぽいTVアニメに細かい設定やクオリティの高い絵柄で説得力を高め、中学生くらいの子がカッと熱くなれるような作品に仕上げられていた。家族と一緒に観に行くドラえもんに飽きると、友達と連れ立ってそういうアニメ映画を観て帰りにロッテリアでハンバーガーを食べて帰ってくるのだ。最近は、アニメ視聴層の高年齢化があり、必要以上にリアリティを追求してみたりシニカルなテイストを重視したりと“シナリオはドロドロ・ルックスはエロエロ”な作品が多かったが、久々にこういう「うお~っ」てなって「くわ~っ」で「むふ~っ」なアニメ…ボカア嫌いじゃないな。

個人的には、ボーイッシュな女の子に見えて実は男の子だった佳主馬のキャラクターがヤバかった。完全に絵としては、男ぶってる女の子として描いてるんだけど、性別的には男なの…アニメとしておかしいじゃん?と思うけど、現実にこういう子がいないのかというといるんだよね。今までそういうキャラクターは、(アニメの世界では)女の子っぽい男の子として描かれていたわけだけど、それはちがうんだっていう…声がわりするかしないかの微妙な時期に、妙に色っぽく見える少年の美しさってのは、オカマ的でもナヨ系男子でもない「これでしょ!」っていう…ハアハア

しかし、この映画にとっての“最悪の事態”が、原発に人工衛星を落とす事…というのを考えると、たった3年後の今我々が暮らすこの世界で起こっている複数の原発で深刻な事故があり、しかもそれが数ヶ月に渡り収束できずにいるという現実は、ある意味“最悪の事態”のその後の世界と言えなくもなく、改めて背筋が凍り付くような現実の中で生き長らえてる恐ろしさに震えてしまう。



『ゴジラ』1954年公開
過去に何度か見ているが、前回…とは言っても20年前に見た時に色褪せない内容だった記憶があったので、まだ未見だというジュンに見せてみたくてレンタルしてきた。が、改めて見るとやはり“昔の映画”な印象は拭えず、ジュンもあまり夢中にはなってくれなかった。しかし、ミニチュアの精巧さや、漁村被災地の瓦礫のリアルさ、白黒映画ならではの強烈なコントラストを効果的に使ったおどろおどろしい画作りなど、フックの強さは随所に感じられた。特に伊福部昭による音楽とゴジラの鳴き声は、強烈に心へ残るものがある。



『たみおのしあわせ』2008年公開
オタクっぽい服装に身を固め精一杯もてないであろう男性を演じるも、隠し切れない二枚目オーラが溢れてしまい妙に憎たらしいオダギリジョーが主演の映画。色んな邦画DVDで予告編を見かけた印象だと、父親役の原田芳雄と2人でひっそり暮らしすオダジョーが麻生久美子と付き合い、結婚に向けて色々あるんだよ的なドラマに見えたが、実際見てみたら先が読めない展開にドキドキさせられつつ最後は…最後は…書いちゃっていいのか悪いのか…どうしよう…まあ、いいか…知りたくない人は読まないでくれ…最後は、すべての伏線を放棄し理解不能のまま幕を降ろすという「やりやがったなコンチキショー」な作品であった。まあ、これはこれで面白いので良い。

忌野清志郎が亡くなった時、誰だか忘れたが“映画撮影の現場にひょっこり現れた清志郎さんが「この映画に僕、出た方がいいんじゃないかな~」と監督へボヤくように訴え、急遽シナリオに無かったシーンを作らせ出演してく事があった”というエピソードを読んだ。この映画がそれだったかは定かではないが、この映画の清志郎もまさにそんな感じであった。出なくてもいいような場所で棒読みのセリフをつぶやく、笑ってるような困ってるような清志郎の表情を拝む事が出来る。忌野清志郎は、一般の知名度が高く業界にもファンの多いアーティストだったが、CDセールス的には決して恵まれてはいなかった。撮影の現場に突然現れ友情出演や特別出演の名でチョイ役を演じ「ギャラなしでいいから、カットにはすんなよ」と念を押して帰ってくのは、清志郎なりのマスコミ露出補強「そういえば、最近キヨシロー見かけないな」を防ぐ為の手段だったのかもしれない。本作とは直接関係ない事だが、そんなことを思ったりした。



『カールじいさんの空飛ぶ家』2009年公開
無口だが冒険好きな少年カールは自分勝手だが明るく快活なエリーと出会い、成長した2人はやがて結ばれるが子宝に恵まれなかった。2人仲良く暮らし、そして老いてゆき…病に倒れたエリーが先に亡くなる。この物語は、エリーに先立たれたカールじいさんの冒険の話なので、エリーとの生活はモノローグでサラッと流れるだけだが、エリーが亡くなるシーンでもう止めどなく涙が溢れてしまい、どうしようもなくなってしまった。白いワンピースの似合う清楚な少女と結ばれるが若くして亡くなってしまう…といったストーリーの方が可哀想度は高いのかもしれないが、子のない夫婦が年老いて独りになる方が今のボクにはリアルで涙腺への刺激が強すぎる。結婚したばかりの時、さあ子供を作ろうと意気込んだ2人が産婦人科で「子供はできない」と宣告されてるシーン、深く項垂れたエリーの肩にどうしていいかわからないカールの手が、恐る恐るのっかっている。あの肩も手も…ボクは知ってる、1年前に見てきたばかりだ。

作品としての出来はまあまあだ。細部に渡るまで制作者の意志が及んでおり、全てが丁寧に作られている。ストーリーもブレていないし、何分かに一度現れるドキドキシーンも飽きっぽい子供の集中力を刺激して、大人しくTVの前に居座る事を約束してくれるだろう。だけど、全てが整理され過ぎていて自然の中でのドラマだが、まるでテーマパークのアトラクションのようだ。風は主人公達の意のままに吹き、石塊は登場人物を避けるように落ちて来る…おっと、イヤミっぽくなっちまった。ただボクにとっては、あの時の真っ暗な闇へと突き落とされるような絶望を思い出させてくれた作品。それが、いいとも悪いとも判らないけど、いつかこんな絶望を“懐かしい”と思える時が来てくれたらいいな…とは思う。



『風の谷のナウシカ』1984年公開
宮崎作品どれも見てるが『風の谷のナウシカ』だけ見てない(正確にはTVロードショーで流れてるのを部分部分見てるが、全編とおしてしっかり見たことはないそうだ)というジュンに見せたくてレンタルしてきた。それなりに集中でき、楽しんでいたようだった。「強い!」とか「ほら、こわくない」「腐ってやがる」等、後世に残るセリフには敏感に反応してたのが面白かった。やはり初見でも、気になるのね…何故か、クロトワの事が気に入ったそうだ。見た直後に『晩酌TV』だったので、ナウシカの話をしていたら「王蟲の抜殻の目をかぶり腐海で寝そべりたい」とか「王蟲の抜殻の目の回りに火薬をトントントン…カチッ、ボムッ!てやりたい」とか、それぞれ皆お気に入りのシーンがあって面白かった。

ボクは、ナウシカをリアルタイムで見ている。15歳の時…原作漫画を連載してたアニメージュは、大プッシュしており盛り上がっていた。トンチンカンな内容のTV特番が放送されたり、有名作家(松本隆・細野晴臣)によるイメージソングをオーディションで選ばれた新人(安田成美)が歌ってるのをボンヤリ眺めたりしていた。作品は圧巻で、『カリオストロの城』以来やっと与えられた宮崎駿のアニメーションに心酔した。



 
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