禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻子と愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

2009年08月

花火寫眞

13日は地区のビアパーティー。14日は妻の実家で酒を飲み、屋根の上で知り合い家族と共に山形花火大会を見物。15日はポチくんが遊びに来てくれたので、街に出て温泉に入りそのままギョウザのおいしいラーメン店でビールをグイグイとやり、居酒屋を2軒はしごしてベロベロになるまで飲んだ。そんなこんなで、酒浸りな盆休みであった。

R0014563.jpg

R0014558.jpg

家を購入して早1年がたった。色んな事のあった長く感じる1年であったが、家を買った事に後悔は一切ないのが嬉しい。光熱費など、グンと上がっちゃうかな?と思ったが差程変わらず、家のメンテナンス等も今のところ特に…こないだ下水口が詰まってたのも、浄化槽メンテナンスしてもらってる会社に相談したらサービスで掃除してもらえたし…近所付き合いも、どちらかというと地区的にドライな感じらしく今のところ問題なし。こないだまで、夜になるとカエルの合唱で騒がしかったが、盆前あたりから虫の声になっている…早くも秋の気配なのね。

R0014683.jpg

R0014681.jpg

ザキくんが、ブログでボクが紹介した漫画を買って読んだと書いていた。しかも、すごーく面白かったとまで書いてくれてた。えーなにそれーマジうれしんですけどーて感じだ。漫画の感想ネタ、しかも何コマか切り取って貼ってある感想ネタって雑誌やネットで見るの好きなので、自分でもやってみたかったんだけど、実際やってみたら思った通りスゲエめんどくさかったので「も、いっかな…」という気持ちがジワジワきてたんだけど、ザキくんのアレでジワジワがフツフツに変わった気がする。オムツの中で言うと軽く漏れてきた尿が金玉袋の隣で沸騰してきた感じかしら…これで、あと3本分くらいは書けるぜ!たぶん

R0014640.jpg

R0014649.jpg

妻がmixiで作った『沼ガール』コミュニティ。地味にニュース系サイトで取り上げられたり個人ブログでネタにされたりしてきたが、昨日mixiニュースのコラムで扱われたらしく参加者がグンと伸び、ついに1400名を越した。この人数になっちゃうと、内輪ノリを保つのは至難のワザ…参加者3万名越えの『森ガール』なんて、トップの説明文からして進学校の校則みたくなってるもん…ゆるふわを守るのも楽じゃないのだなあ。沼は、はてさてどんなことになるのやら

 

CBJAM'09

3024ad20.jpg


今年もやって参りました!どデカいキャンプファイヤーと飲み放題生ビール、そしてトラックの荷台ステージでは音楽!という夢の祭典『チェリーボーイジャンボリー』でございます。去年とても好評で動員も良かったのですが、駐車スペースの関係から今回は参加者限定100名という事で、事前申し込みにての受付となりました。ご興味ある方は是非、メールにて申し込みの上ご参加くださいませ!妻の雑貨屋『毛玉工房』やbabydriverさんのラーメン屋も出店するよ!

詳しい情報は、チェリーボーイジャンボリーのサイト【http://www.handa-giken.com/scj/】をチェックしてください。

796fdbc9.jpg


今回ボクは、ポスターとフライヤーをデザインさせてもらいました。半田くんも気に入ってくれたようで何より!参加者を事前予約にした事が吉とでるか凶とでるか…でも、基本主催グループの持ち出しで行ってるイベントなだけに、何か事故が起きて「誰も責任取れません」で不幸な終わり方する位なら、こうして参加者の素性をある程度把握した状態で、許容人数を絞るというのは良い事だと思います。さあさあ、今年も星空の下でビールジョッキをグイグイあおり、22時前には撃沈して妻に尻蹴られながら車の中で寝たいと思います。楽しみだ!

 

センチメンタリズムの宿

1f493707.jpg


米沢・白布温泉の西屋という温泉旅館に行ってきた。東京から妻の妹家族が来るというので、皆で行って喜んでもらえる場所を…と色々探してる中で、妙にネットで評判が良かったのが気になったのと、以前夕方のTVでポチくんが入浴していて後から「あの温泉良かったっけ~」と褒めてたのが記憶にあったのだ。んで、実際行ってみたらスゴク良かったという…ぶっちゃけ自慢日記です。

R0014291.jpg

茅葺き屋根の木造2階建て、現在の場所で営業をはじめて270年という昔ながらの湯治宿の雰囲気たっぷりな温泉旅館。とにかく古いが、清掃が行き届いており清潔感がある。館内廊下は全面籐のござ敷きで、裸足でヒタヒタ歩くと気持ちいい!

e7ff1437.jpg


中庭を囲むようにグルリと建物があるので、ザ・古民家!って感じの外観を館内から堪能できる。板壁の感じとか、ゆがんだガラスとか思わず昔の母の実家を思い出した…懐かしいなあ。

20bd0e4e.jpg


以前は、西屋以外にもこの界隈に数軒茅葺き屋根の宿が数軒あったらしいが、どこも焼失してしまい現存しているのは西屋1軒のみ。よって、防火対策を理由に各部屋・食堂が禁煙になっている。喫煙者で、しかも酒が入るとタバコの量がグッと増える我々にはチト辛いかな?という危惧があったのだが、館内に10ヶ所ある喫煙所がなかなか雰囲気あっていいんだ…

79bb6bf2.jpg


昼間はこうしてほど良く外光が入り、夜は橙色の電灯の優しい光が酔った心にスッと風を入れてくれる。他に、大きめの本棚がしつらえてある喫煙所もあった。部屋や衣類もヤニ臭くならないし、思った以上に快適!

そして、何よりここは温泉!お湯がいいのです!

R0014240.jpg

すごい量の湯がドドッと流れ込み、うたせ湯になっている。かすかに硫黄の香りがあるが無色透明で、湯船には湯の花がフワフワとたくさん漂っている。

add707f6.jpg


一枚岩から削り出したという御影石の湯舟は、何百年も温泉に晒されるうちに漆黒になったらしい。現代の大浴場とはちがい手狭だし、シャワーやカランすら無いけど逆につげ義春の漫画にでも出てきそうな雰囲気があって、なんか…いい感じ。

350d084c.jpg


手前が湯舟。奥は源泉が直接流れ込んでる湯桶、ひとりくらい入れる広さだけどメチャメチャ熱い!や、ギリギリ入れる熱さではあるけど…

R0014254.jpg

湯舟から溢れ出た湯は、ザーザーと風呂場の外へと流れてゆき…渡り廊下を越えて、中庭脇の用水路へと流れている。

R0014227.jpg

風呂場の写真を撮りながら「nagaokaさんなら、この浴場をどんなにか雰囲気たっぷりに撮影するんだろうな~」と何度唸った事か…いくら広角に強いカメラであっても、こういう狭い場所を雰囲気が伝わるようどう切り取るかってのは、センスがでちゃうとこなんだなぁ

んで、料理もなかなか

376f1a90.jpg


山菜や川魚、地のものが中心の懐石料理。若者にはちょっと物足りないかもしれないし、年寄りにはちょっとボリュームあり過ぎかもしれないけど、自分達のような中年男女にはちょうどピッタリ。日本酒をチビチビやりながらつまむのに最高!どれも手がかかっていて美味しかった!

9a7e5eb0.jpg


朝飯も彩り鮮やかで、実に食欲をそそられたんだけど…妙にゴハンがすすまなかったなあ。たぶん、味付けかなり薄めだったからだと思うんだけど、普通これだけあったら間違いなくお代わりするであろうオカズ量にも関わらず、一膳食べきれなかった。

f5e214fa.jpg


ちなみに各部屋には、洗面所・トイレがない。これも利用前は「不便だろうな」と思ってたけど、全然平気だったな…特に洗面所は温泉がかけ流しになっていて、いい感じ。トイレも和式と洋式ウオッシュレット便座両方あって好印象。

R0014257.jpg

最後に、ちょっと残念に思った事も…ボクらが泊った部屋がかなりカビ臭かった!妹家族の部屋はそうでもなかったので、当たりハズレがあるのだろう。古い建物なので仕方ないといえば仕方ないが、かなり臭かった!あと、やはりこれも古い建物なので…というアレだが、2階の部屋の足音がかなりダイレクトに聞こえるので、子供連れや朝早く行動するお客さんが上の部屋にいたりするとかなり響くであろう。朝食前も部屋が調理場に近かったので、従業員の方たちのおしゃべりがかなり賑やかで、早い時間に目が覚めてしまった。朝食ギリギリまで寝ていたいとか、朝食後に「もうひと寝するのが楽しみ」という人は、かなり運不運に左右されるであろう事を覚悟しておく必要がある。

でも、そういったトコも含め満足できる宿であった。今度は、紅葉の時期にでも実家の両親を連れてきたいなと思ってる。ホント、いい宿を見つけた!

86d4dea9.jpg


 

あとからくる

ssy1.jpg

『深夜食堂』安倍夜郎著/小学館刊

ビックコミックオリジナルを読むのは、きまってスーパー銭湯のロビーだ。妻と待ち合わせた時間より10分ばかり早くあがり、お気に入りの漫画をいくつか読むのが小さな楽しみになっている。蔵人、岳、あじさいの唄と浮浪雲あたりに目を通し、最後「そろそろ妻が出てきちゃうな」というタイミングで、毎回10ページ程と短くサッと読み終えられる『深夜食堂』で締めるという寸法だ。

繁華街の片隅で、深夜だけ営業している小さな“めしや”。決まったメニューは豚汁定食とビール・日本酒・焼酎のみで、後はお客のリクエストとその日の仕入れでマスターが作れるものを作って出す…という、そんな店が舞台のサラリとした感触の人情話である。多くのグルメ系漫画と同じく、毎回何かしらキーワードになる料理が登場するので、サウナあがりの「帰ったら晩酌だ!」というノドもお腹も空っぽな自分には辛い…かというと、そうでもない。『深夜食堂』の料理は、変に胃袋を刺激しない…というか、乱暴に言えば「食欲が湧かない」のだ。

ストリーテラーであるマスターがいつも冷静であるからか作品全体に妙な落ち着きがあり、料理も唾液がブワーッと出るような刺激がないし、人情話も思わず涙がこぼれる程のインパクトがあるわけでは無い…と書くと「じゃあ、つまらないの?」って話になっちゃうわけなんだけど、もちろんそういうわけはなく、これが不思議と後から来るんだな。「さあ、早く帰ってビールだ!ビール!」と車を走らせていると、さっき読んだ『深夜食堂』のオニオンリングが、うるめいわしが…まるで、さっき実際自分が食べてたかのように食感が蘇り「食べたい」という気持ちが、水たまりに落としたインクのようにフワーッと広がって消せなくなる。そんで、閉店間際のスーパーに駈け込み「オニオンリングに近いもの…近いもの…」なんつって、串カツ(玉ネギ入ってるからね)とかフライドポテトを買っちゃったりした事が何度あったか!

後からくるってのは不思議なもんで、ストーリーの方も泣いたりした記憶がない割に妙に心に残ってる。こうして、単行本でまとめて読むと「あ~はいはい、このエピソード懐かしいなあ」などと、ほとんど覚えてる事に驚く。ゴクリとノドが鳴る食事の描写や料理ウンチクが無く、心乱すようなドラマも起こらないけど心の中にしっかりと根をはられてしまう…そんなグルメ漫画がひとつくらいあったっていいと思う。

ssy2.jpg

常連で大食漢のまゆみちゃん。深夜2時過ぎに、飼い犬であるブルドッグの散歩がてらビールを飲みに来る。おでんが大好物。その食いっぷりにはファンも少なくない。

ssy3.jpg

うるめいわしが物語のキーワードだが、味については「旨いっスよね、ここのうるめ」のたった一言しか語られない。でも、不思議と読んで30分後にジワジワとうるめが食べたくなる。

ssy4.jpg

喫茶店でビールというシュチュエーションにグッとくるのは、世代的なものなのだろうか?と考える事がある。松田優作をはじめ、ワイルドな男ってのはどこでもビールを飲むし、いつでもタバコを吸うというイメージが脳に染みついてる…というのは、嫌煙社会に馴染んだ最近の男子には無い感覚かもしれない。

ssy5.jpg

こうして見ると、常連が皆ブサイクというのも魅力の一因かもしれない。2次元でも3次元でも美男美女ばかり出てくる作品というのは、それだけでつい冷めた目で見てしまう。ピンクの髪の美少女は許せないが、目の離れたデブ女性は漫画を2割増しでおもしろくしている気がする。

  

 

セックスはしたい

ki1.jpg

『結婚しなくていいですか。』益田ミリ著/幻冬社刊

以前から、20代後半~40代の独身女性が持つ独特の悲愴感…本人は現状にそれなり満足し、誰に迷惑かけるでもなく自立しているのに、親類や友人からの「結婚適齢期なんだから、そろそろ」というプレッシャーや、世間に蔓延する恋愛至上主義的な価値観、社交辞令の中に見隠れするトゲある言動の数々…それらに深く傷つき、しかし強く歩んでゆく姿に魅力を感じていた。

もしかしたら若い女性が、少しくたびれた“熟年オヤジ”の後姿に可愛さを見い出すような…そんな感覚に近いのかもしれない。ボクにとっては、公園のベンチで肩を落としハトさえも近づかない熟年オヤジより、駅のホームで両腕に大荷物を抱えたまま、ノースリーブから伸びるムササビのような二の腕をフルフルさせつつ誰が見るでもない化粧直しに勤しむ妙齢女性の方に、胸がキュンとなってしまうのだ。

ただ、飲み会で泥酔して乱れるとか、深夜ベッドで号泣する…みたいな、いかにも「悲しんでます」な漫画的表現には惹かれない。この作品のような、真顔で暮らすクロックワークな日常の中でフト眉をしかめたり、心が晴れたりという…その些細な明暗に読んでるこっちも心を動かされる。

ki2.jpg

ki3.jpg

主人公は、カフェの雇われ店長「すーちゃん」35歳。すーちゃんが通い始めたヨガ教室で再会したのが、学生時代バイト先の社員だったOL「さわ子さん」もうすぐ40歳。2人を軸に物語は進む。

ki4.jpg

真顔でいきなり「セックスはしたい」とかモノローグつけられると、違和感を覚えたりするけど、あくまでそれは“漫画だから”であって、実際のリアルな生活の中ではいたって日常的な出来事ではないだろうか?こういう淡々としたペースが、登場人物と読んでる自分との距離を埋めてゆく。

ki5.jpg

自分の回りで次々起こる、結婚や妊娠といった所謂“普通”とされる出来事…それによって友人知人に抱く距離感や違和感。

ki6.jpg

さわ子さんは、別にいつもセックス絡みの事ばかり考えているキャラクターではないけど、やたらと印象的なので…というか、恐らく同僚などに「そういうこと考えてなさそう」と思われているようなキャラクターなのだろうけど、そういう人だからこそ!というあたりが妙にリアル。

ki7.jpg

若い時とちがって、良くも悪くも内心と関係なくコミュニケーションを円滑に行ってしまう自分がいる。

ki8.jpg

でも、やっぱり違和感。

ki9.jpg


子供が産まれたら「もうすぐ別のあたしになる」と感じながら「今のあたしで会っておきたかった」と考えていた、すーちゃんの友人まいちゃん。

こういう感覚は新鮮。今までボクは「年賀状に自分の子供の写真貼って送られても…」と、そういう事に対して批判的な気持ちが強かったけれど、こういう「でも、会っておきたかったんだ」、年賀状でいえばおそらく「でも、見てもらいたかったんだ」という心情が…いやいや、もちろん送ってくる人の多くはそんな風に考えていないだろうけど、そんな気持ちもあるんだという事にちょっと驚いてしまった。もし、そんな風に思って送ってきてくれる人がいるなら…もちろん受け入れるだろう

ki10.jpg

さわ子さん家は3人家族、寝たきりで自分の娘すら忘れてしまった祖母と、そんな親をひとりで介護するお母さん。物語の終盤、さわ子さん宅へ食事に招かれたすーちゃんが発した一言に、さわ子さん母娘が一瞬固まる。離れて暮らす兄家族からも“無いもの”のように扱われている祖母に「挨拶したい」と言ってくれたすーちゃん。この後、すごく母娘が喜ぶとか涙するような反応はない、ただこの一コマだけ一瞬固まっただけ。挨拶して、食事して帰るだけ。

でも、ヨガで偶然再会してたまに一緒にお茶するくらいの友達だった2人、いつも別れ際は「じゃ、また来週」と手を振っていたすーちゃん達だが、この日はさわ子さんの口から「また来てね、絶対」という言葉が溢れる。

何か胸にあたたかいものを残し、物語はそのペースを崩さず淡々と終わる。いや、我々の日常が終わらないように、この物語も“次のページ”が無かっただけで終わってはいないのだろう…一度本を閉じて深呼吸すると、何となく又1ページ目から読み出してしまった。



 
Profile

hagenama

Article retrieval
Comment
Archive
Rakuten
Counter
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: