禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻子と愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

2012年10月

三幸

寿司等生魚が好物のジュンだが、無類のハンバーグ好きでもある。特に昔から好物なのが、三幸の和風ハンバーグである。貧乏サラリーマンの我が家には、決してリーズナブルといえる店ではないので、しょっちゅうは来れないが「どこに食事行こうか?」という時にはよく名前が出てくる。

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ジュンの通院付き添いの帰り、時間的に中途半端だったので寄りたい店が見つからず、ズルズルとそのまま山形まで戻ってきてしまった…夕方でもう辺りは真っ暗、診察頑張ったジュンに店を選ばせたらココになった。

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ボクがいただいたのはディナー日替定食、牛さがりステーキ・カニクリームコロッケ・サーモンフライのセット(1,380円)。赤身の残る牛さがりは、肉の風味はそれ程強くないものの中々柔らかくて美味しい…バルサミコ酢を使ったコクと酸味のあるソースもマッチしてました。手造り感あるボッテリとしたカニクリームコロッケは最高…食べ応えあり!サーモンも旬を感じさせてくれるシットリと味の濃い身が美味だった。ライスの量は少なめ。

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ジュンはもちろん、和風ハンバーグ定食(1,050円)。小ぶりだけど肉ギッシリで固めに丸められたハンバーグに、かなり濃いカツオ風味のトロミソース(あんかけ?)がかかり、温野菜が彩りとして添えられている。はじめて食べる人はおそらく戸惑うであろうレベルのカツオ風味が、クセになる人にはクセになるのではないだろうか…いや、美味しいんだコレが。ライスやスープと共に別皿で出て来るサラダのドレッシングが又うまい!よく、これを真似たドレッシングをジュンにリクエストして作ってもらうくらい好き。

お腹空いてる時って“ボリュームある店”に惹かれてしまい勝ちだけど、やはり“美味しい店”の方が、食後の幸福度は高い気がする…ていうか「気がする」とか言ってないで、悩む事なくそーいうお店を選ぶような年齢というか、体型というか…ともかく自分は、そのへん色々と肝に命じるべきと思う。

住所/山形県山形市南栄町2-12-19
営業/11:30~14:30、17:00~21:30(水曜定休)
 

劇団『きのこ牛乳』

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山形で暮らしはじめて新鮮だったことのひとつに“夢を持って東京に出てく人”の存在がある。電車で一時間ばかり揺られれば都内に行ける千葉人だった自分の周囲にも、仕事の都合などで都内に居を移す友人はいたが、それはそれ「故郷を捨てて夢を追う」みたいなドラマチックなものはなかった。なんたって電車で一時間、「一緒に暮らしてた友達が女の所に転がり込んじゃったたから、実家に戻るわ」程度の話しである。

いまお世話になってる会社の同僚女子も、歌手を夢見て東京に出ていった…数年後こっちに戻ったと聞くが、顔を見かけてはいない。今も山形に帰省した時に遊んだりしてるサチちゃんとはじめて会ったのは、彼女が純朴な山形の女子高生だった頃だ。福島を経て東京で暮らし、今も頑張っている。僅か12年ばかりのボクの山形ライフの中でも、ちょっと考えると5〜6人はスッと東京に出て行った友人の顔が思い浮かんでくる。

そんな中で、唯一“二度東京に出て行った人”がいる。それが、たわしくんだ。役者を志して山形から上京、作・演出の方に興味が移り戯曲を学ぶが、一旦東京を出て実家に戻る…ちょうどそのタイミングで、共通の知り合いを介し山形で我々夫婦と友達になる。この頃もたわしくんは演劇の脚本を書くことに夢中で、『ラジカルガジベリビンバ』の話しかなんかで盛り上がったボクに、自作コントのシナリオを見せてくれたりした。その後、満を持して再び上京したたわしくんは自分の劇団を立ち上げ、コンスタントに公演を重ね、今回ついに山形で凱旋公演を行うことになったになったのであったのであった!

いや、結構長くなっちゃったな…そんな、たわしくんの劇団『きのこ牛乳』の山形公演【正しい雨】は、七日町の瑳蔵で今週末、10月13日・14日の2日間(時間は、きのこ牛乳HPでご確認ください)行われます。音楽は地元の『けちょんけちょんジャグバンド』が担当、入場料は前売・当日共に2000円とそんなに気負わずに“二度東京に出て行ったヤツ”の「そこまでしてやりたかったこと」を見ることができるという…なかなか、こんな機会おまへんで!というわけで、興味持たれた方は是非足を運んでいただければ幸い。

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CBJAM'2012

アジアン雑貨屋台用の荷物をクルマにぎっしり詰め込み、会場に向かいながらジュンと話していた。地方ならではなのだろうか?こういうイベントだけでしか会わない友達というのが、結構たくさんいる。青空の下、音楽聴きながらビールでも飲めたら最高!そーいう機会があり足を運ぶと見知った顔が…酔いにまかせて挨拶し、なに話すわけでもないが何度か会ってるうちに友達になってる。酒を持ってれば「ま~どうぞどうぞ」とグラスに注ぎあって乾杯、タバコが無ければ「1本ちょうだい」と平気で言えちゃう…普段どこで何してる人か詳しくは知らないけど、妙に気が合う…というか、顔合わす時はこっちもむこうも必ずニコニコしている。

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都市部だとイベントの数も多いしとにかく人が多いから、少しくらい趣味趣向が似通っててもスタッフだったり出店者じゃない限り「おや、また会いしましたね」という事は少ない気がする。どちらがいい悪いかは色々なのだろうが、CBJAMではそんな風に「久しぶり!」「元気だった?」と数カ月ぶり、もしくは「去年のCBJAM以来だね」みたいな仲間がたくさんいるので嬉しい。2年ぶりの笠原さんは、かわいらしい婚約者を連れて来て紹介してくれた…2人共ニコニコしていて可愛らしくてしょうがない。

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屋台を作り、開店準備してるジュンをチマチマ手伝いながら、店の裏でポチくんとタッシーにビールを渡し一足先に乾杯しちゃう。前週あたりから秋の空気が漂い涼しくなってきたが、今日は暑さがぶり返したかのように感じる…苦いベルギービールが爽やかに感じられ美味しい。いつものように『maqaroni』の演奏で雰囲気が上がり、夕暮れが深まると共にお客さんの数も増えてくる。ジョッキを片手にフラつけば、あっちこっちに知った顔があって破顔一発「乾杯!」となる。酔作チームとも固い握手で挨拶。ジュンの『毛玉工房』にも、馴染みのお客さんやTwitterで出店を知り駆け付けてくれた方達で賑わっている。

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軽い気持ちで『ひとり屋台村』のタコ焼きを手伝ったのが運のつき!行列できちゃって参った参った!巻き込んだポチくんと大汗かきながら、タコ焼きをひっくり返しまくった。今までずっとヒデちゃんに「店、大変だったら手伝うから言ってね~」と吹きつつヘラヘラ酒飲んでたバチが当ったのかもしれん。買おうと並んでたオバチャンが、列から抜け「見てらんないよ」と入って来て、かなり長いこと一緒に焼いてくれた…後から皆に「あのオバチャン誰だったの?」と聞かれたが、知らないんだよ、見ず知らずの祭り好きなオバチャンだったの。

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ステージには、伝説のヒーローが現われ(本人が「僕と今夜会ったこと絶対にナイショだよ?」と言ってたので詳しくは書けないが)毎年恒例巨大キャンプファイヤーに火が灯され、サプライズの打ち上げ花火に皆が感動し、ステージの演奏もこの夜一番のピークを迎える。思わずタコ焼き係を放り投げ、iPhoneのカメラを起動させながらステージへと走った。



どうよ、この感じ!サイコーに気持いい!半裸になって踊ってる人も遠巻きに眺めてる人も皆笑顔だ。おそらく今までのCBJAMで、一番盛り上がってる瞬間では?凄いぞ!スゴイ!と、テンション上がり過ぎ&タコ焼き係疲れ過ぎでフラフラになり、珍しく泥酔する前にダウン…珍しく0時前に寝袋の中へ…何分寝てたのか、気持良く聴こえてきたのは、キャンプファイヤーの傍らで演奏する半田くんの歌声。テントの天井から覗く星空を眺めながら、ボンヤリと聴く「明日を待っている僕の元に何か♪贈り物が届けばいいなあ」



音楽業界の衰退が叫ばる昨今、レコード会社の利益減少を世間と音楽の関係が薄れているかのように語る声もあるが、こうして所謂メジャーレコード会社の手を介さずに、自分が本当に作りたい音楽を自分の手で作り、安価な自主製作盤として、又は身近なライブを通して人々の元に届けようとしているアーティストは少なくない。祭り囃しが誰の物でもないように、この夜演奏された音楽はすべて“この場にいる人達だけの物”だった。デパートの商品棚からCDが消えゆくのは悲しいむべき事なのだろうけど、そうして音楽は“企業の物”でなく、アーティスト自身が紡いだ輪の中にいる人達の掌へと帰ってゆくのかもしれない。テントから出ると、たくさんのロウソクが幻想的に輝くその先に、半田くんの音楽に身を委ねる人達のシルエットが揺れていた。

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最後の出し物は、毎年恒例となった感のあるジュンの『童話朗読』。Takさんに手招きされ一緒にワインをラッパ飲みしながら聞いていると、かわいらしい女の子が「隣いいですか?」と座ってきた。何故かボクにピタッとくっつくとジュンを指差し、「あの娘、あんなカワイイのに酒豪キャラなんだよ~おもしろい!」と言って笑う。うん、よく知ってる。写真を撮っとかないといけないなと立ち上がり、しばらくして戻るとかわい子ちゃんは、Takさんのヒザ枕で寝ていた。ホントにジュンの朗読で寝てしまった姿に笑った。ヒデちゃんの特製中華そばをいただき(おかわりまでして)再び寝袋に戻った。

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深夜3時頃にマイクを使って怪談話をする声が響く…誰がやらせてんだよ?と一瞬ムッとするが、こういう脱力するような事象がCBJAMを深刻なトラブルから遠ざけてくれているんだと、割と真剣にボクは思っているとこがあるので「そっかそっか、今回はコレか」と無理矢理納得し、とりとめのない怪談に耳を傾けた…逆に怖くなるくらい怖くない話しだった。

最初は単なる内輪だけの“ロックフェスごっこ”だったCBJAMだが、年々動員が増え特に今年はかなり地域の目を意識した『町のイベント』としての側面が強化されたお祭りになっていた。元々、河原でバーベキューしてる男女仲良しサークルがあれば、森の影から覗き見ては「ケッ」と悪態ついてたような実行委員のクセ者達が、果たしてこの変化の中でも結束乱れずに事を成し遂げられるのだろうか?地域の気難しい大人達やお客さん気分で集まってくる人達に気分を害し「俺はオメーらのためにやってんじゃねえ!」とケツをまくってしまうメンバーがひとりくらいいるのでは?と密かに危惧していたのだが、開けてみれば何の事はない、今まで見た事ないほど実行委員メンバー全員が働き、走り回っているではないか!ボクなんかが想像してた以上に、彼等は大きくなった自分達のお祭りに誇りを持ち、責任感を抱えて各自の役割を全うしようと頑張っているのだった。

何だか俄然“これから先”が楽しみになってきた。こないだの芋煮会で会った樹くんは、すでに来年の算段を語りはじめていた!来年はさらにCBJAMを進化させると目を輝かせる彼に皆が好き勝手言って爆笑している。今までもそうだったように、来年もまた何かの【縁】で繋がった仲間が全国…いや、ここ数年外国人の参加者も多いから世界中?から、名前くらいしか知らないけど毎年笑顔で乾杯してくれる友に会いに、山形の森の中へと集まるのであろう。それが、どれほど素敵なことかボクは知っている。
 
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