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『世界屠畜紀行』でブレイク中のイラストレーター内澤旬子さんが、日記で「モヒートうまい、モヒートうまい」と連呼してるのに感化され、最近は晩酌でこればかり作って飲んでいる。グラスにホワイトラムとライム(レモン)果汁、ミントの葉、砂糖を入れてバースプーンでよくかき混ぜ、氷とソーダを注いで完成!ミントと柑橘系のさっぱり感と仄かな青臭さが、40度もあるラム酒のアルコール臭さを消し、砂糖の舌に残らない甘味がスッ…と喉を洗い流してくれて、もう居酒屋のベタついたレモンハイなんか飲めねえなと思う(飲むけどな)、発泡酒のワザとらしい泡なんてゴメンだねと思う(飲むけどな)。何回も作ってるうちに分量のコツがわかってきて、格段においしくなってくのも嬉しい。しかし、飲みやすいだけに危険も伴うのだ…25度の焼酎を扱うようにドボドボグビグビしてると、かなりの確立で二日酔いを招いてしまう(飲むけどな)。

内澤さんも絶賛している『いのちの食べ方』という映画、ぜひ観に行きたいと思う。スーパーのあまりに衛生的な肉売場、魚売場で買い物をしていると、肉や魚がどういう過程を経てここに来てるかを忘れてしまいそうになる。ボクらが子供の時は、売場にはもっと血の匂いがあったし、それは明らかに生物の死を感じさせる雰囲気だった。現在のように、袋菓子や缶詰と同じく「無味無臭です」みたいな顔で並べられているパック入りの肉や魚を見てると「サバは切り身で泳いでる」なんて事を言ってしまう無邪気な子供の言葉も、まんざらバカにできるものではない気がしてしまうのだ。

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『もやしもん』の影響で、ぐんと日本酒に対する興味が湧いた。とりあえず本醸造だの吟醸酒、純米酒だのとジャンル分けの名称が細分化…というか、氾濫し過ぎてどこから責めていいのか分からないので、原材料が米と米麹だけのものを選んで買って来て飲んでいる。ラベルを見てるとわかるのだが、1升瓶で千円台のものはだいたい米・米麹以外に醸造アルコールというのが入っている(もっと安いのだと酸味料・糖類など色々な調味料が入っている)のだが、醸造アルコールというのは発酵させたのち蒸留したアルコールなので、日本酒の定義である「米を発酵させた(だけの)酒」からははずれてしまう。つまり、厳密にいうと醸造アルコールの入った日本酒はリキュールなのだ!あの有名な越乃寒梅の大吟醸超特選500ml3500円も「く~っ、やっぱいい日本酒はうまいなあ!」「あ、それリキュールですよ」「え?」なのである。や、ホントにこんなシュチュエーションに巡り会ってもこんなこと言えないし、リキュールなんやかんやという話自体が重箱の隅をつつくにも程があるのだが「あ、それリキュールですよ」「え?」なのである。もちろん「酒なんかうまけりゃいいの!何が入っててもいいの!」もよくわかるが「あ、それリキュールですよ」「え?」なのである。

そんなわけで、山形の日本酒『初孫』の生配純米酒というやつを飲んでいる。意識しなければ絶対わからないだろうが「醸造アルコールなんか入ってないんだもんね」と思いながら飲むと、何だか雑味がないように感じる…うまみがありつつもサラッとしてて、ワザとらしい甘味がない気がする…そうして、ひとり頭でっかち気味に「うまいなあ」と満足に浸るのであった。ちなみに、日本酒のように同じ地域で冷したり暖めたり(お燗)して飲むお酒って世界に類を見ない珍しいことらしいですよ。