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宮城県で毎年GW前半に開催されているロックフェス『ARABAKI 08』に行ってきた。前の日記でもチラッと書いたが、今年は80年代に活躍したアーティストが本当にたくさん参加していて。4ヶ所あるステージの中からそういう“懐かしい系”の人達ばかりチョイスして見回っていると、何というか…とても2008年とは思えないような「いまいつ?ボクいくつ?」みたいな不思議な気分になってしまうのだった。ロックフェスというより…懐かしのメロディみたいな?去年「もう一度、妻を口説こう」のキャッチフレーズで大きな売り上げを記録した『R35』という80年代邦楽バラードのオムニバスアルバムがあったが、方向性としてああいう部分も狙ったんだろうなあ…地方開催で邦楽アーティストのみのロックフェスとして、間違ってないチョイスだと思うし実際去年より入場者の年齢層も上がっていたように感じた。ただ、これ以上“懐かしい系”アーティストが増えちゃうと所謂ロックフェスじゃなくなっちゃう気もする…はてさて来年はどうなってることか?

というわけで、観たアーティストの感想をパラパラと…

【KAN】
来月から始まる弾き語りライブの宣伝。チェックの背広上下に蝶ネクタイで登場、それだけでウケてる。曲は新旧織り交ぜて…個人的に是非聞きたいと思ってた“まゆみ”もやってくれた。超エルトン・ジョン入ってた!1曲終わるたびに立ち上がって、両手をベルトのあたりで組んで深くお辞儀…MCではステージから見えた屋台の名前について触れた後「是非ご利用ください」、最後には次に出演するアーティストの紹介までしてく態度に、周囲の若者が「いい人だ…」「すごくいい人だ…」とヒソヒソ…聞いてて可笑しかった。結局『愛は勝つ』は演らずにステージを後にしたのだが、ここらへんがアレだよな…自分は“懐かしい系”ではなく現役なのだという意地が見え隠れ…悪いとは思わないけど、もうひとつ突き抜けて「『愛は勝つ』ってアレでしょ?聞いてて恥ずかしくなる歌でしょ?」なんて思ってる若者をドキッとさせて欲しい気がする。例えばバラード調アレンジで変にノリノリにならないように演奏するとか、このイベントに出演してる他のアーティスト…原田知世とかとデュエットするとか。エルトン・ジョンだって『Your Song』何千回も歌ってるでしょ?その時の観客の幸せそうなリアクション観たことあるでしょ?と語ってやりたい。

【FLYING KIDS】
完全に“懐かしい系”として開き直ったお仕事感漂うステージ。ボーカル浜崎だけは、かろうじてアーティストぽいオーラがあるものの、他のメンバーからは覚悟のようなものも音楽に対する興奮も感じず…浜崎のMCも『ライブの煽り文句定形文』みたいな「盛り上がろうぜ~!」みたいなで、見てるうちに萎えた。

【ORIGINAL LOVE】
物凄く久し振りのライブだそうで「いったい何をしてたんだとお思いかと…」なんて本人も言ってたが、声は艶やかで動きもすごく良かった。最近は大型バイクにハマってるそうで「今日もここに来るまでに素晴らしい峠があって、ブワーッて鳥肌が…」なんて目をキラキラさせながら話していた。『接吻』などヒット曲も出し惜しみせず、かといってお仕事感もなく力いっぱい歌う姿に興奮するオーディエンス…を見てさらに興奮して激しくクネクネしながら歌ってる田島貴男!って感じで素晴らしかった。

【原田知世】
バイオリンを含めたバンド全員がイスに座り、しっとりした構成でのステージ。開演前、ポチあにきとなおなお旦那の中年男子3人で『時をかける少女』歌ったらひっくり返るよな~まさかまさか~なんて話してたんだけど、ホントに歌ったのでひっくり返った。去年出したアルバムでセルフカバーしてたのね。聞きたかった『シンシア』とか『ロマンス』はやらなかったので残念だったけど、何ていうか…ボクにとって『時をかける少女』や『原田知世』ってキーワードは、自分年表の20数年前のとこに燦然と輝く道標なので、感慨深いものがあった…ボクよりひとつ歳上なんだけど、そういう感じじゃなかったなあ…40歳にもなって何でそんなにカワイコぶってんのさ?っていう…でも昔のアイドルって何かああいう「ニコニコしてるんだけど何考えてるかわかんない」みたいな雰囲気あったよね。そのまんま40歳になっちゃったんだな。原田知世の声は良かったんだけど、ギターのチューニングがおかしくて台無しだった。けど“それに焦りつつも冷静に対処しようとしてる原田知世の姿”が見れて嬉しかった。ライブってハプニングやトラブルをどう処理するか?ってのもひとつの見所で…もしかしたら、それこそがCDや映像作品では感じることのできないライブの醍醐味ってやつなのかもしれないけど、原田知世はあそこでステージ袖のスタッフに「チューニングおかしいよね?」とジェスチャーで伝えることしかできなかったのが残念。ボク的には(何様?)、演奏止めて良かったと思った。

【忌野清志郎】
ステージがはじまるまで「復活したキヨシローの勇姿が見れて嬉しいな」くらいのホッコリした気持ちで、客席の柵の外でボーッとしていた。ボクがRCファンであることを知ってる妻に「もっと前に行かなくてもいいの?」と聞かれたが「ここでいいよ」とか言って…でも、1曲目が始まってキヨシローがでてきたの見た時「あれ?ボクもしかして生でキヨシローのライブ観るのって初めてじゃない?」と思ったら興奮して、結局ステージ前までダ-ッと走って行った。今も半信半疑なんだけど、25年もファンやってるとお気に入りのライブアルバムやビデオ、雑誌などで読んで妄想膨れ上がった思い入れのあるライブなんてのも数多くあるので、たぶん…観た事無いのに観た気になってたんじゃないかなあ?や、1、2度観てる気もするんだけど…それはともかく、復活したキヨシローの声は思ったより全然しっかりしていて安心。曲は新旧入り乱れて…個人的には『キモチE』を生で聞けたのが最高に嬉しかった。あと、梅津和時の身軽さに驚愕した…クルクルと踊りながらサックス吹いてるんだもんなあ…すごい60歳だ!にしても、ライブの構成の絶妙さが凄かった…客をズッと集中させるんじゃなくて、所々まったりした部分も作りつつ飽きそうになったとこでガッと集中させたりして、全曲知ってるとか歌えるって人じゃなくても最終的にライブ観終わったお客さんの多くが「楽しかった~」って思えるような作りになってるのな。TV番組って一瞬でもつまらないとパッとチャンネルを変えられちゃうから、ズッと集中してもらわないと!って作りだけど、映画とかライブってスグにその場を離れられるものじゃないから、適度に突き放したりそのはずみで勢いよく寄ったりっていうダイナミズムが「ならでは」な感覚を作り出してる気がする。アンコールなんかまさにそんなテクニックが駆使されており、客を煽るだけ煽っといて耳覚えのないバラードを歌い「ん?あ…え…そうなの?」ってとこで、三宅伸治がセンターにスッと出てきてガーッガガーガーガガッガーって雨あがりのリフを弾いたとこで観客ドカーンですよ!ですよって言われてもアレでしょうけど、そういうことでキレイに盛り上がりイベント自体の大トリを見事に締めてました。感心!そして感動!

他に、【GO!GO!7188】や【曽我部恵一BAND】【ゆらゆら帝国】【BEGIN】も観たんだけどいい加減長くなってしまったので、機会がありましたらまた書いてみたいと思います。【曽我部恵一BAND】は中学生男子的な一体感が良かったなあ…特に興味なかったポチあにきが思わず「良かったなあ…Tシャツ買ってもいいくらい」と言ってたのが印象的だった。何でCDじゃなくてTシャツなのよ!

あ、あと「ボクを見かけたら声かけてください」なんて前回の日記で書いておきながら、絶対わからないであろう髪型になってちゃっててスイマセン。いや~たまたまズラ忘れちゃって!

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