2011/10/11/TUE
定時出勤定時退勤。メシ食ってTV見て寝た。

2011/10/12/WED
休暇。ジュンの通院の日であり我々の9回目の結婚記念日でもあった。朝8時出発…相変わらず病院駐車場への渋滞が物凄い。特殊小型カメラで子宮内環境を調べる検査の為、午前中に麻酔をしたり子宮口を拡張しようと努力を重ね、午後イチから検査本番…担当の先生もジュンも頑張ったが、やはり子宮口が小さく「これ以上無理すると(子宮口が)裂けてしまう」との事で検査断念。まあ、この検査が出来なかったから妊娠できないとかそーいうものではないのだが、数日前から鬱々とこの検査の事を考えて苦しみ、実際今日こうして痛い思いまでして「無理でした」という結果にジュンはかなり落ち込んでる様子。

病院を後にし、どんよりとした雰囲気の車内…せめてもの救いは、「結婚記念日なんだから、ちょっと美味しいものを食べて帰る」と前日からジュンが楽しみにしていた焼肉屋のランチタイムにギリギリ間に合う時間に診察が終ったこと。ここで、生肉好きなジュンが望み通りお目当ての『米沢牛炙り牛刺し丼』を食べれて「おつかれさまでした」で終れば、ちょっとは和やかムードにもなったのだろうが、なんとこの日に限って“従業員研修の為1時間早く閉店”というアンラッキーに見舞われ、店内で食事してる人はいるけど入れないという地獄を味わう事に…

とりあえず、午後3時近く空腹限界だったので「しょうがないから、上の階にある王将に行かない?」とジュンに聞くも「王将なんてヤダ!」とブチ切れられる、「じゃあどうするの?」「…もう家に帰る」「ハァ?こんなにお腹空いてるのに家に帰るって…ハァ?」「ギョーザなんて食いたくない!」とジュンが泣き出してしまった。「お、おいおい…」となだめようとしたが、ボクの腕を振り払い「肉なの!頑張ったのに、結婚記念日なのに…王将なんてイヤなの!」と大泣き。

通りがかる人達の冷ややかな視線を気にしながら、どうにかジュンを車に乗せて、ひとり駐車場の隅まで歩いた。何故イライラすると煙草を吸いたくなるのだろう…煙草を持ち歩いてはいないので、息を吸い大きなため息をひとつふたつ、みっつ…気持ちを落ち着かせ、車に戻った。

「お腹空いてるからとりあえず何か食べて帰って、夕飯に美味しい物を食べよう」「いやだ、もう家に帰りたい」「お腹空いてるから…」「じゃあ、ひとりで王将行ってきて」「ダメでしょ一緒に…何なら食べてもいいの?」「…肉、焼肉って思ってたから」「じゃあ、この近くでやってる焼肉屋を探してみたら?」

iPhoneを取り出し検索しだしたジュンを横目に車を出す。結局どこも良さげな店はやってないという事になり、山形にもあるチェーン店の『やまなか家』に入った。満足いくよう、セット物に単品も加えて頼み2人で腹いっぱい食べた。爆激辛で頼んだ冷麺が「あまり辛くないじゃん」と笑いながら、でも少しやさぐれながら食べた。

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夕日を浴びながら山形へと帰る…最近、ジュンは「昼間ひとりで家にいると気が狂いそうになる」と言う。不妊治療のプレッシャー、毎週痛みに耐えながら行う検査に対するストレス、妊娠したら半年近く入院しなければならないであろう事に対する恐れ、鬱を抱える自分が子育て出来るのか?という不安…妊娠を望まなければ目を背けていられたかもしれない大きな大きなモヤモヤに日々押しつぶされているのだ。(以下は、ボクの想像)毎週会社を休み通院に付き合ってくれているダンナも、同じ痛みを分かち合っているわけではない…付いて来ても待合室で居眠りばかりしてる。「おつかれ」「大丈夫か?」の言葉も上っ面だけで、二言目には「お昼は何食べる?」だ。何故こんなつらい思いを…何のためにこんな痛い思いを…

で、ボクはボクで毎週会社を休ませてもらう事に対し、同僚や上司に気を使いまくってるわけだ…会社員というのは、自分の仕事をこなしていればそれでいいというわけでなく、意外に“いつもそこにいる”という事が重要だったりする。「アレ?あの人いなくても仕事回るんじゃね」と思われたトコから色んなバランスが崩れてしまう…という事も少なくない。診察室で長時間待つ事も当事者とは全くちがう疲れがあるし、長時間の運転も毎週毎週では楽だとは言えない。そして、これらの小さく(そう、極めて小さいのだが)積み重なってゆくストレスを大きな痛みに耐えているジュンにグチる事は出来ないのだ。グチる事は出来ない…が、心の中からは消せずにさっきのような瞬間に「こんなにお腹空いてるのに!」と怒鳴ったり「王将なんてイヤなの!」と大泣きしたり…という風に爆発してしまうのだろう。

『まぐろや』で、いつもよりちょっといい刺身とエビフライを買って帰宅。結婚9周年の乾杯をして少しお酒を飲んだ。

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早めにベットに入り、ジュンの頭頂部に顎髭を突き刺しながら聞いた。「不妊治療の検査、ちょっと休むか?」今までの検査でいくつかわかった事もあるし、その結果「高過ぎる」と診断されたホルモンを安定させる薬をジュンは飲んだりと、以前より状況は改善されてるので、とりあえず数ヶ月は検査を休んで排卵日等を意識した性交をしながら普通に暮らしてもいいんじゃないかと思ったわけだ。それで相変わらず妊娠に至らなかったら次のステップをと…だが、ジュンの答えは「休まない」とのこと。「一度立ち止まっちゃうと、もう二度と病院に行きたく無くなっちゃいそうで…」「そっか、そうだな」あっさり話は終わった。

ボクらはもっとタフにならないといけない。時にはつまづきながらも手は離さず、同じ目標を見据え2人で歩き続けなければならない。たとえゴールが素晴らしいものであると確証を持てなくてもタフに進むべしなのだ…それが自分達のチョイスした人生なのだから。