禿生海峡冬景色

山形在住【食いしん坊中年男子】の平穏な日常に突如襲いかかる妻子と愛猫の嘔吐!そしてその内容物について…

ウツのツレがガンになりまして

Infertility treatment

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子供が好きだ。見ていて「かわいいなあ」とか「おもしろいなあ」と思う。高校生の時には学童保育のバイトをしていた事もあった。もちろん保父さん的な仕事だったわけだが、割とボクは昔からボクだったので「良い子の皆~今日は何して遊ぼ~か~?」みたいなキラキラウキウキお兄さんではなく、出来れば外で体力使わず絵でも描きっこして楽に遊ぶのが好きなお兄さんであった。で、画用紙に割と気持ち悪い“目の離れたクマ”とか“足の短いキリン”なんか描いて、あまり活発でない子達とグフグフ笑っていた。

そして、そのまま大人になった。甥っ子や友達の子供、最近だとジュンの妹なんかと接する機会もあるわけだが、基本的に高校生の時のまま、キラキラウキウキお兄さんではないままグフグフおじさんとして子供達との関係を築いている。グフグフおじさんは意外に嫌われない、キラキラウキウキお兄さんの愛想笑いや甲高い声の方が勘のいい子には睨まれたりするよ…そんな無根拠な自信まで持ちつつ、今日もボクは生きている。

で、不妊治療の話しだ。8月から不妊治療の為の検査を始めている。元々、ジュンが子宮頚がんを患った時、ボクは再発リスクが少しでも減る事を願い子宮全摘を主張したが、ジュンが「取るだけってのはどうも気に入らねえ」と「がんになりました、はい取りましたじゃ負けっぱなしだ」「それだったら妊娠の可能性が残る手術をして、がんを治しました、はい妊娠しました」「そして、これでトントンですねと神様に言ってやりてえ」と…トントンまでは言わなかったかもしれないが、とにかくそういうジュンの主張を「そうですね」と二つ返事で受け入れた。かっこいいなとすら思ったね。

んだけど、やはり大きく辛い手術を経験したジュンの口からは積極的に「そろそろ不妊治療を…」という声は、なかなか出なかったわけだ。なので、ボクから今年の夏に言ったわけです。「よし、今度の定期検診の時に先生に言おう」と…ジュンは一瞬ひるみ、しかし「うん」と頷いて、そのまま手術してもらった病院での不妊治療をお願いした。

不妊治療に関する検査は、もちろんジュンだけでなくボクも色々するわけだ。「精通は何才の時でしたか?」とか「月に何回くらいやってますか?」みたいな問診票を書き込んだりとか、金玉にゼリーをベッタリ塗られてエコー検査とか、肛門に指入れられて前立腺検査とか…精液検査は念入りに2回もあって、病院の外来にある1畳くらいの密室で手渡されたコップに精液を出さなければならない!しかも「30分たっても無理だった時は、看護士に声をかけてください」という微妙な時間制限つき!そんで、出たら精液の入ったコップとオシッコの入ったコップ(精液逆流の何だかを調べるために必要だとかで)を両手に持ち、エレベーターに乗って検尿室まで自分で運ばなければならないという…ちなみに、その密室に雑誌やビデオがある病院はあるらしいけど、ボクは無かったですね…ていうか、14インチのテレビデオだけがあって看護士のおばちゃんがちょっと照れくさそうに「自分で持ってくれば見れるんですけどね…何も入ってないのよゴメンネ」みたいな。

まあでも、へんな話ちょっと嬉しいですよ。普通の…奥さんが病気じゃなかったり、自分がまだ20代だったりして同じような検査受ける人にとっては微妙な体験かもしれないけど、ボクは1年前この同じ病院の上の階で妻の手術の成功を祈り震えていたわけですから…それが今や不妊外来に大手を振って往来してる、や、往来は大袈裟ですけど、こうして検査を受けれる状況になった事が嬉しくて仕方ない。なので、満面の笑みで金玉エコーとかしてもらっている。「排卵予定日がこの辺りなので、○日から○日の間に1日おきで性交してください」ってのも楽しい。こうして妻と共に未来を作る為の治療を受ける事が出来るなんて、本当に笑っちゃうくらい楽しいよ。

今もがんの方の検診にも定期的に通ってるわけだけども、やはり婦人科の待合室…泣いてる女性いるもの。地元の小さな病院から紹介状持たされて来て、聞きたくないこと言われてる人たくさんいる。みんな診察室では、驚きの方が大きくて取り乱しはせず、待合室に出てから声を出さずに泣いてる…ジュンもそうだった。毎月そういう方を見かけるわけではないけど、やはりそういう場所に通っていると自分の受けてる些細な検査や制約なんて、喜びしか感じないよ…マジで。これだけしかしなくていいの?とすら思う。「右の金玉と左の金玉を手術で入れ替えたら受精する確率が10%上がります」って言われたら、躊躇なく金玉袋を広げるくらいの覚悟はあるよ!シワというシワを伸ばした金玉袋に女房を包み込んで癒すくらいの覚悟はあるよ!あれ、何の話だっけ?

そんなわけで、ジュンと同じ手術をした人で妊娠出産までこぎつけた人は少ないし(今お世話になってる病院でも妊娠した方が2名、そのうち出産までこぎつけた方は1名のみ)、妊娠から出産まで険しい険しい道のりな事はわかってるんだけど、その道を我々は歩みはじめたわけだ。自分達で決め、自分達の足で!

もしよろしければ、我々2人の成り行きを…なま暖かく見守っていただけたら幸いです。

 

天使に非ず

人によっては気分を害する可能性のある日記なので、毒に触れたくない方はこの先を読まない事をオススメします。

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ジュンが病気の治療で子宮を取らねばならない可能性が高かったと知ってて、どうにか取らずに済んだけどまだ正常に機能するかどうかわからない状態だ…という事まで知ってて、知ってるのに自分の赤ちゃんの写真送ってきたりとか、子供の歌声送ってきたりとか、「赤ちゃん見に遊びきて」って誘ったりする人がいる。それも結構たくさんいる…気遣いのできる、優しいはずの友達が何の悪気もなしに…

悪いけど、とても迷惑です。

気持ちはわからないでもない。『子宝』って言葉があるくらい、両親にとって、家族にとって子供は『宝』であり『天使』のような存在なのであろう…だからその天真爛漫な輝きをオメエ様にも与えてしんぜようってな寸法なんだろうけど、いらない。結構です。アナタにとっての天使は、誰にとっても天使で「か~わ~い~い~」って存在なわけじゃないんだよ。悪気がないのはわかる…でも、ジュンは傷つくのだ。ボクは傷つくのだ。こういう人間がいるのもわかって欲しい。

 

味噌ピー

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いつだったかぢるぞさんと話してて「ピーナッツ味噌は、千葉と茨城にしかないらしいですよ」と言われ驚いたんだけど、こないだ山形のマイナー系スーパーで見つけた。「なんだ、山形にもあるじゃ~ん」と思い、作った会社見たら千葉だった。千葉と茨城にしか「ない」んじゃなくて「作ってない」って言われたのかもしれない…とにかく、そんなわけで恐らく20年ぶりくらいで食べた味噌ピーは、まあ…まあまあ…はいはい、って味だった。子供の時は好きだったよ、給食で出ると喜んでた記憶もある。子供は甘いもん好きだからな…

昨日は、ジュンの定期診察の日だった。普段の生活は、すっかり手術前の日常に戻っているとはいえ、病院の日は緊張する…行きの車の中で胃がキリキリと痛くなってしまった。診察の結果は…再発とか転移とかいう事はないが、手術した子宮口が見つからなくなっており、癒着の可能性があるかも…との事だった。癒着してると確定したら、再び手術せねばならない…その事実もショックだし、子宮口を探し念入りにエコー検査されたの痛かったらしく、病院を出る足取りも重くジュンは塞ぎ込んでいた。

医療がどんなに進歩したといっても、精密機械とハイテクの隙間から原始的な「え?」ていう治療がちょこちょこ顔を出す。真っ暗な部屋の中に落ちてる「はず」の小さな鍵を手探りで拾おうとするような検査…見つからなかったらドリルでドアに穴を開ける?考えただけで震え上がる。もちろんお医者さんは真剣に診察してくれている…でも、不安はつのり、心は重くなるばかりだ。

変わってやれたらな…

無理だとわかっていても、そればかり考えてしまう。無理だ無理だ…頭を切り替え、自分に出来ることを精一杯しよう。ジュンが好きなものをたくさん食べさせてやり、好きなように買い物させてやろう。それで、少しでも辛さと幸せの比率が50/50に近づけたら、重い心も少し軽くなるかもしれない。いつも隣にいるんだもの…ボクに出来ることは、もっとあるはず。まずは、この日記をアップして『晩酌TV』をはじめよう!そんで、ジュンとみんなと乾杯するんだ!笑顔で乾杯を!

 

茶巾ギブ

ジュンが退院して約3ヶ月…昨夜は久々に温泉&岩盤浴を満喫してきた。ジュンと同じように手術でお腹に大きな傷ができた人の中には、他の入浴客に心ない事を言われ「それ以来、温泉施設には行ってない…」なんて話しも見かけた事があったので心配だったが、とりあえず今回は嫌な思いはしなかったらしく一安心。でも、おばちゃんたちは結構ジロジロ見てくるらしい…以前、浮浪者の人が「女子供は容赦なくジロジロ見てくる」と言ってたのを思い出す。

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温泉の前に南陽太助で夕飯。旬のブリがえらくうまかったので、ブリトロを頼んだら『ザ・魚脂』!って感じで、コッテリ激うまだった。もちろん、いつもの中落ち手巻きも食べた!去年『茶巾寿司を自分の好物にする計画』を思い立ち、ここにくるたび必ず注文する事を自分に課していたが…ダメ、いい加減飽きた。ギブアップ!

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腹ごなしに寄ったBOOK OFFでは、東陽片岡『ほどよい男達のバラード』や吉田秋生『ハナコ月記』、何年か前にゲンちゃんに読ませてもらった『孤独のグルメ』もパラパラしてみたら程よく忘れていたので購入…あと、氣志團のツアーパンフ(特大うちわまで付いて105円)も入手。

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A3はある大きなツアーパンフとうちわを見つめ、ジュンが「また、我が家の荷物が増えた…」とため息ついていた。

 

年末年始の風景

ジュンの退院から2ヶ月たった。手術が成功したといっても癌患者とその家族の脳裏から『再発』『転位』のキーワードが消えることはない。毎月の診察前には必ず怯え、手術前にしていたように最悪の状況をリアルに思い描き、そうなった時の対処を懸命に考えては凹む事を繰り返している。とはいえ、ジュンはともかくボクに関しては、普段はほとんど手術前の悲愴な気持ちから解き放たれていると言っていいだろう…平凡な日常を楽しみ、ジュンの闘病中は出来なかった事を満喫している。

手術・入院と気が張る場面が続いたので、落ち着いた瞬間にガクッときたりして…という話は、ジュンとよくしていたし友達なんかにも言われてたが、確かにちょっときた。とりたてて騒ぐ程の「ガクッ」ではなかったのが幸いだが、足にきた。ひとつは、夏ぐらいからちょっと怪しかった右足の水虫が悪化した。週に何度か温泉やサウナに行っていたので、そこで菌をもらってきてしまうらしく、以前から水虫ぽくなってしまう事はたまにあったが、そういう時は気をつけて一日に何度も足を洗うようにしてればスグ治っていた。だが、今回はどんなに消毒しても酷くなる一方だったので、12/8に皮膚科へ行き薬を出してもらった。2週間ばかり塗っていたらキレイに治った。

もうひとつは、巻爪だ。知ってる人は知ってるが、知らない人は知らないであろう地味な病気(病気?)“巻爪”との付き合いは中学生の時からだが、あまりに酷くて簡易手術までした中学生の時以上に今は酷い状態になっている。ちょうどジュンが入院してる時に深爪したのが化膿し、腫れてパンパンになり歩くのも困難になってしまったので、12/24クリスマスイブの夜に整形外科に行った。今も毎日消毒してるが左足親指だけどうしても良くならない…肉が盛り上がってきてしまってるので、手術する事になるかもしれない。

両方ともジュンの入院時期に合わせて悪化しているので、大きく体調を崩したりしてなくても地味に抵抗力が落ちていたのだな…と実感する。まあ、水虫だの巻き爪だのスケールの小さな症状で済んで良かった。地道に治療していこうと思う。

というわけで、手術の褒美にジュンにプレゼントした新しいカメラで綴る『年末年始の風景』

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